中華書店の移転後の2年間余りの間、寂しい様相を呈していた当会館1階。その1階の中華書店跡地が、去る10月15日、中国の伝統的色彩に溢れる「中国茶藝苑―馥」として新しく生まれ変わりました。 オープンを記念し、初日からの3日間、茶藝苑では、当会館関係者をお招きした「中国語り歌の夕べ―鼓曲茶館ライブ」が開催され、連日、中国大使館、マスコミ、文化関係者を中心とした多くの関係者で賑いました。
ライブの出演者は、中国文化の日公演のために北京より招聘していた鼓曲の歌い手・郭蘭陽さんら演者3名。中国服姿の店員が席に着いたお客に中国茶や点心を運び終えると、清朝風の衣装を纏った郭さんが舞台に上りました。中国茶の香りが漂う中、緩急自在の三弦と四胡の調べにのせた郭さんの張りのある歌声が茶館に響き渡り、観客は一瞬にして中国的情調に酔いしれました。時折、郭さんがみせるコミカルな仕草や多彩な表情には、会場のあちこちから笑い声が漏れ、会場は次第に中国の茶館のような熱気に包まれていきました。中には「北京の老舎茶館に戻ったみたいだ」といった嬉しい感想を述べられるお客様もいらっしゃいました。 上演前は、海外では馴染みのない中国の語り物芸―鼓曲の味わいを上手く伝えられるかが心配されましたが、全曲目に日本語字幕をつけるたこともあって、観客の反応は予想以上に非常によいものでした。茶館オープンを飾るにふさわしい質の高いイベントになってのではないかと自負しております。
ライブ終了後は、茶館では定期的にこうしたイベントを開催していくのか、といった質問が多く寄せられました。今後、茶館がこうした文化の香るサロンとしても、多くの方々にご利用いただければと願っています。 (文化事業部 侘美)