10月1日から開催した「第14回中国文化の日 中国―泉州糸あやつり人形劇」は、24日好評のうち無事終了した。来場者は延べ数で、公演は1500名、展覧会は5000名を上回った。 今回のメインイベントは、会期半ばの連休に開催された泉州木偶劇団による来日公演。3日間に渡り4回に分けて開催された。各回とも開演前から若いカップルや親子連れからお年寄りまで幅広い年齢層の観客が集まり、立見席を用意しても対応しきれないほどの賑わいをみせた。
中国南方の伝統音楽の調べにのせ、60cmほどの小さな操り人形が舞台に躍り出、人形の遣い手が張りのある素晴らしい歌声を会場に響かせると、会場は一瞬にして静まりかえった。続いて、遣い手が十数本もの糸を自在に操ながら、人形の中に魂が吹きこまれたかと錯覚するほど細やかな人形の動きをみせると、静寂は驚愕と感嘆の声へと変わり、それと共に惜しみない拍手が送られた。
舞台が最高潮を迎えたのは、江戸糸操り人形劇団結城座当主・結城孫三郎氏が友情出演した最終公演。日中双方でそれぞれの《獅子舞》が披露され、日本の獅子が“文獅子”とすれば、中国は“武獅子”であり、それぞれの持ち味を活かせばさらに完成された獅子ができるはずと、将来の本格的な舞台共演に期待を繋げる意見で締めくくられると、会場は一層の盛り上がりをみせた。公演終了後も、舞台に押し寄せて演者と語らう人が絶えず、会場にはいつまでも観客の興奮と熱気が渦巻いていた。
東京公演を終えると公演団は、群馬県六合村へと向かった。受け入れ先となった六合村は、初めて中国からの公演団を受け入れたこともあり、村長をはじめ村を挙げて歓迎の意を表し、心のこもったもてなしで公演団を迎えた。団員も地元の人々と寝食を共にすることで、言葉は通じなくても心が通じあえたと、甚く感激した様子だった。日中相互理解の促進のための何よりの成果だったと思われる。 本公演を通じ、日中文化交流の成果はプロジェクトの規模だけ計られるものではなく、具体的な実施方法を工夫し最大限に活かしきれば、規模の大きさに関わらず大きな収穫を得られるものと感じた。今後も、こうした草の根の文化交流の意義を見失わずに努力していきたい。 (2004.10 文化事業部 侘美)