第15回中国文化の日 展覧の部では、「中国民間年画展」(会期:2005年10月1日~10月23日)を開催した。本展覧会では、中国各地14ヶ所から集めた郷土色豊かな木版年画148点をはじめ、版木・ハケ・バレン等の用具類を展示。さらに、会場内で年画名産地や年画刷りの様子を常時ビデオ上映した他、簡単な年画刷りを体験できるコーナーも設け、中国年画の魅力を余すところなく紹介する展覧となった。会期中に川劇公演が同時開催された効果も大きく、来場客は6700名あまりにのぼった。
本展開幕の際には、開封朱仙鎮年画研究会より年画作家・年画研究家3人が来日し、当地随一の年画作家と賞される張廷旭氏により、開幕式内覧会の招待客・一般来場客・研究者及び美術大学生を対象に計5回の年画制作実演を行われた。一枚一枚の年画の意味や刷りの技法について尋ねる来場客の熱心な様子に、作家らは「日本の皆さんが年画に対してこんなにも興味を持ってくれるとは…」と大変感激したようだった。
また、今回は本展覧会開催に際し、長年中国各地の年画収集にあたってきた日中友好年画研究会の松田高治氏より、展示作品の提供・解説の面で、熱意ある惜しみない協力をいただいた。「(年画を通して)中国の人達も日本人と同じく自然を愛し、幸せを願い、よく働く優しい国民であることを知ってもらいたい」と言う氏による作品解説は、質・量ともに充実した分かりやすい内容で大変好評を博した。
会期を通して、出展作品の豊富さと丁寧な解説のおかげもあって、通常よりゆっくりと時間をかけて会場内を廻る来場客を多くみかけた。来場客からは「元気をもらえた」「幸せになれそう」「運が良くなりそう」「家族の幸せを祈る気持ちがよく分かる」といった声が数多くあがり、それぞれ作品に親しみを持ちながら楽しんでもらえたようだ。なお、本展出展作品のほとんどは、山梨県身延町のなかとみ現代工芸美術館が開催する「―新春を彩る寿ぎと祈り―中国年画展」(会期:2005年12月16日~2006年2月12日)にて続けて展覧される。 (文化事業部)