公益財団法人 日中友好会館 JAPAN-CHINA FRIENDSHIP CENTER
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総合交流部
  第十回都道府県教育訪中団  
 

黒龍江省、山東省で熱烈歓迎 26都道府県教育委員会が参加
「日中平和友好交流計画」に基く「第十回都道府県教育訪中団」一行が、11月5日から14日まで北京、黒龍江省哈爾濱、山東省済南、泰安、青州、青島を訪問した。特に「平和友好交流計画」としての教育訪中団としては初めて訪問した黒龍江省、山東省ではいずれも副省長が会見し熱烈な歓迎を受けた。一行は白石晃宮城県教育長を団長、三瓶寧夫福岡県教育次長を副団長とし、全国26都道府県教育委員会幹部が参加した。今年は年明け早々にSARSが発生し、中国への修学旅行を中止するなど交流事業にも影響を来したなかでの訪中団派遣であったが、各地の教育委員会の積極的な対応のもとに成功裡に実施された。

訪中に先立って開かれた結団式では、谷野作太郎副会長から「日中国交回復直後に北京に書記官として勤務、その後大使を務めて、20数年中国との付き合いをした経験からいえば、そろそろ友好をいわなくてもよい成熟した関係になっても良い頃ではあるが、両国はやはり友好をいわざるをえないのが現状である。両国は力を合わせてアジアと世界のために貢献すべきであるが、最近は両国の一部に感情過多の物言いが力をもつ傾向があるのは気になるところ。次代を担う教育者の方々は落ち着いた風格のある日本人の育成に努力して頂きたい。歴史問題はごまかしや開き直りは許されない世界だと思う。粗野でなく率直な意見交換をしてほしい」とのアドバイスをうけた。また、日本の学力低下が目立つなかでの教育交流については「中国側のレベルの高さに驚く声や、中国のなかにもやはりアメリカだという声があるのは残念なこと。日本が活力を取り戻すことが両国関係を元気にするうえで大切だと思う」との現状認識と日本側の心得も助言された。

中国側の「歴史認識」をめぐる発言
結団式までの東京は24度と例年より暖かな日が続いていたが、到着した北京は気温5度の寒さ。その夜開催された中日友好協会主催歓迎宴において挨拶した王效賢副会長は「近年来中日両国のぎくしゃくした関係について憂慮している。30年前に両国が困難を乗り越えて国交正常化を実現させ、また、25年前には平和友好条約の締結を実現させたことを体験した私としては、この両国が直面する問題をうまく解決できないはずはないと思っている。中日両国の友好関係は両国の利益に合致しているし、アジアと世界の平和に貢献するものであるということは歴史が証明している。両国の国情を冷静に理解すれば困難を克服し解決できないはずはないと思うし、その努力をしなければならない」と語った。

また、外交部表敬では孔鉉佑アジア局副局長が会見し、「95年来の教育交流は有意義であり、政府としてはこれからもこの交流を継続していきたいと考えている。中日関係には、経済交流など互いの利益に関わる分野の交流の活発化と政治面での不調和という2つの側面がある。この現実を日中両国民が冷静に受け止めて、置き去りにせず、充分に歴史の教訓を得て今後の対策をとるべきだ。本年は両国の交流が活発に動いているが、今後は色々な問題も生じるだろう。政府間のみならず民間でも当面する問題にいかに対処すべきかを考えて解決をはかるべきだ」と語った。

北京、黒龍江省、山東省教育界との交流
教育部表敬で会見した国際合作部の瀋副局長は中国の初等、中等教育の改革の現状、特に経費節減のための行政改革と教育課程についての改革を紹介した。
また、北京市教育委員会では李観正副主任が会見、北京市の大学進学率が45%位だが、今後は都市部と農村部の格差問題に注目して、教育の機会均等の実現を図り、農村部の教育の情報化と教師のレベルアップに努力しなければならないこと、幸い11月1日からの北京市教育TVのデジタル化によって、教育の地域間格差をなくすことに活用できるようになったことなどが紹介された。
北京のあと中国の最北に位置する黒龍江省哈爾濱を訪問、付暁光副省長が花苑邨賓館において会見、零下10度の寒風の中を26都道府県教育委員会幹部が揃って訪問したことの喜びを率直に表して、「日中平和友好条約締結25周年の年に両国の友好のためによい架け橋になった」と歓迎の言葉を述べた。また、省の教育庁では孟繁杰副庁長が会見、9年制の義務教育はほぼ実現していること、今後の10年間で高校教育の完全普及を実現すること、大学進学率は15%であること、IT教育に力を入れ、特に先進国の「自ら学び自ら考える力をつける」という生涯教育に活用していくことなどが紹介された。

そのあと訪問した山東省は広東省、江蘇省に次ぐ第3の経済発展を誇る省である。中国には現在2万キロの高速道路が建設されたが、山東省内の高速道路は2千キロに及ぶとの紹介を受けた。一行の10日から14日までの4泊5日の旅は省都済南、泰安、青州、青島まで実に800キロの高速道路を走るバスの旅であった。外資企業の高層ビルが林立する青島を除けば、沿道はどこまでも小麦と街路樹のポプラの苗木が植わった畠が続き、同省の経済発展が主に農業で支えられていることを実感した。同省の食糧生産は全国一で、野菜の生産高も全国のトップであり、それらを主要品目とする対日貿易高もまた全国一である。また、同省は日本の教育に多大の影響を与えた孔子、孟子、孫子、諸葛孔明 、王義之等ゆかりの地でもある。
一行の表敬に会見した王軍民副省長は日本の大企業が積極的に投資活動を展開していることを紹介したあと、9年義務教育が全域で普及し、高校進学率は50%強、大学進学率は15%であること、都市部と農村部の格差是正が課題であり、そのためには外資も導入して高等学校や専門学校の増設を図りたい、日本の積極的な協力も期待したいと述べた。

また、省の教育庁で会見した齋涛教育庁長は、山東省の教育事情をより詳細に説明し、省の84大学のうち50校は国立、34校は民間企業が投資した学校(私立ではなく省政府管理下)であること、高校教育の改革を進めて試験も全国統一試験を行わずに、カリキュラムを学生の希望する内容を選択できるものに改革していく方針である、グローバル化の波を受けながらも、自民族の文化を大切にしていく考えであることを紹介した。
一行は北京では芦溝橋第一小学校、哈爾濱では哈爾濱師範大学附属中学、山東省では曲阜実験小学校、泰山外国語学校青島海利豊小学校を訪問、学校関係者から温かい歓迎を受けた。

 
 
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