公益財団法人 日中友好会館 JAPAN-CHINA FRIENDSHIP CENTER
サイトマップ
トップ 催事案内 活動記録 施設案内 会館概要 業務案内 リンク集
  TOP  >  活動記録  >  総合交流部  >  バックナンバー
バックナンバー
総合交流部
  第九回中国教育関係者代表団が来日東京、鳥取、島根、滋賀、京都、大阪で教育交流  
 

日中双方が教育交流の重要性を指摘
「日中平和友好交流計画」に基く第九回中国教育関係者代表団一行18名(団長汪風雄四川省教育庁副庁長)が、中日友好協会の派遣により11月16日から25日まで来日した。団には北京市、四川省、貴州省、湖南省、浙江省から教育庁幹部と学校長が参加、東京、鳥取、島根、滋賀、京都、大阪を訪問して、関係官庁の表敬、教育関係者との懇談、学校訪問などを通じて日本の教育事情についての理解を深め、各地の経済、文化、市民生活などの理解に努めた。東京都内の日程のみ、中日友好協会の王效賢副会長が顧問として参加されたので、外務省は一行の表敬訪問に対し、逢沢一郎外務副大臣の主催による昼食会をもうけて歓待した。逢沢外務副大臣は、「日中関係は今日単に2国関係として重要であるのみならず、アジアと世界の平和にとって重要な問題である。あらゆる交流を通じて相互理解を深めなければならないが、とりわけ“人づくり”に携わる教育の交流は重要だ。皆様が今回、東京、大阪のような大都市に加えて、鳥取や島根にまで足を運ばれるのは大変意義があることだ」と教育の交流に期待を述べた。
東京ではこのほかに林義郎当財団会長、鮎澤光治東京都教育次長を表敬訪問した。林会長との会見では、汪団長が「1992年国交正常化20周年を記念する訪日団に参加して初めて日本を訪れた。林先生は中日友好に多くの貢献をされたと伺っている。若い世代は中日友好を前に進める義務がある。数千年間の歴史の中で不愉快な歴史はごく一時期だ。教育者としては中日友好を若い世代に教える責任がある。両国の友好は両国に利益をもたらすことだと確信している」と述べ、教育交流の重要性を強調した。

また、東京都教育庁では鮎澤教育次長が、教育関係者の相互交流により互いに見聞を広め、経験を深める機会があることに感謝したいと述べたあと、「社会の急激な変化により、東京も教育面で大きな問題に直面している。そのなかで、東京都は生徒に対する資質として1.互いの人格を尊重する、2.規範意識をもち社会の一員としての自覚をもつ、3.創造力ある豊かな人格の確立を目指して取り組んでいるところだ。この機会に東京について理解を深めていただければ幸いだ」と述べた。

進展する教育現場の国際化
以下、各地で訪問した学校での交流を簡単に紹介する。
東京では江東区立明治小学校を訪問して、遠藤輝雄校長等の案内で授業を参観した。とりわけ、英語教育に力を入れる本校では、中国出身の東大大学院生が英語のALTとして勤務しており、彼女の授業で小学生が楽しく英語を学んでいる姿が印象的であった。
また、鳥取県では藤井喜臣教育長をはじめ、県教育委員会幹部が出席して歓迎昼食会が開かれた。そのあと、石家庄師範大学附属中学校との交流がある県立鳥取東高等学校を訪問、土井校長が「日中友好は大切なことだ。特に多感な青年時代に生徒の家でのホームスティを相互にやって交流すれば、生涯の友を得たということになる。本校は今年、理数系の学生が上海を訪問し、現地の日系企業や蘇州大学・復旦大学を訪問した。今後は今回ご来校された方々の地域との交流もやっていきたい」と述べた。学校紹介のあと、部活動の時間帯という関係もあり、女生徒による琴の演奏と茶会を催して熱烈に歓迎した。

島根県は中日友好協会から毎年交替で国際交流員を受入れている。代表団の袁敏道秘書長がかつての国際交流員ということもあり、広沢卓嗣現教育長をはじめ第五回都道府県教育訪中団に参加された江口博晴元教育長以下、すでに本県から教育訪中団に参加されたメンバーなど、県教育庁の幹部15名が一堂に会して一行を歓迎した。
滋賀県では立命館大学琵琶湖・草津キャンパスを訪問、松野周治教学部長、中島淳国際教育・研究機構推進副機構長、人見充国際課長から琵琶湖・草津キャンパスの概要説明、「ARISE2000」(大学の知的資産を活用する国際協力プログラム)についての説明を聴取したあと、当大学の産官学提携研究の中核拠点テクノコンプレクスを参観した。当大学では、世界42カ国・地域、150大学・機関との協定による国際交流を行っている。カナダ、韓国、インドネシアに続いて、最近は中国・上海交通大学に連絡処を開設した。
京都では、京都市庁を表敬、高木壽一副市長と安井隆総務局国際化推進室長、高桑三男京都市教育次長が会見した。「794年の遷都以来、中国に学んできた歴史を大切にし、今後も引き続き相互交流を推進していきたい。京都市全体で4、300人の海外留学生がいるが、そのうち2、500人が中国からの留学生だ」と中国との交流に積極的な京都市の話に団長も身を乗り出して「双方が手を携えて新しい友好交流をつくっていきましょう」と応じていた。

そのあと高桑教育次長の案内で、本年4月にスタートした中高一貫教育の実施校である京都市立西京高等学校附属中学校を訪問した。本校では、中学・高校双方の校長と京都市教育委員会指導部の幹部が出迎えて一行を歓迎し、授業参観や生徒による中国語の学校紹介、校内テレビ局の団長へのインタビューなど、新しい中高一貫教育校としての面目躍如たる内容でもてなした。

大阪では率直な情報交換会
最後の訪問地大阪では、昨年に引き続いて大阪府教育委員会教育振興室教務課幹部との教育情報交換を目的とする懇談会が2時間にわたって開催された。大阪の教育行政の紹介と高校改革についての概要説明に続いて、教育予算の配分、週休5日制、部活動、日本は少子化への対応、中国は高校進学率の高まりとそれへの対応としての高校教育改革について、双方は率直で活発な意見交換を行った。「日本の教育の大きな課題の中心は、勉強しなくなった子どもにいかに勉強させるかだが、これについてのご意見はないか」との日本側の問いかけに、団長は「どこの子どもも勉強はしたくない。環境がよければよいほど子どもは怠けやすくなると見た方がよい。金や環境が簡単に手に入るのではない、ということを子どもたちに教えねばならない」と述べ、中国ではこの種の問題解決のために研究会が発足していると語った。
なお、東京では当財団の林義郎会長主催歓迎夕食会が、大阪では村上立躬理事長主催歓送会が開かれ、それぞれ中国大使館李東翔公使参事官、邱国洪大阪総領事が出席し、日中間の教育交流を継続して両国の友好に貢献するようにとの激励の言葉を述べた。
(2004.11 日中歴史研究センター)

 
 
歓迎の挨拶を述べる逢沢外務副大臣(左)

インタビューを受ける汪風雄団長
 
 
業務・財務に関する資料 プライバシーポリシー お問い合わせ