当財団は毎年5月に、外務省委託事業として中国教育部が派遣する高校生訪日団を受け入れ、各地の教育委員会の協力の下に学校での交流や生徒の家庭でのホームスティなどで日中両国の高校生交流を実施している。本年は小泉総理の靖国参拝に対する中国での反対デモがメディアを通じて大きく報道された直後という環境のなかで実施されたが、関係者の努力により無事成功裏に終了した。
一行は中国教育部の王凡参事官を団長に、北京市、上海市、山東省、江蘇省、内蒙古自治区、遼寧省、吉林省、浙江省、福建省、寧夏回族自治区から100名が参加、5月16日から24日までの8泊9日間、関空から入国、和歌山県、大阪府、愛知県、岐阜県、京都府、東京都を訪問、各地で活発な交流事業に参加した。特に、和歌山県では県立桐蔭、星林、那賀、耐久の4校、岐阜県では県立岐阜総合学園高校、東京では都立城東、文京、豊多摩高校で高校生の交流が行われた。
今回の特徴としては、19日午前中に愛知万博EXPOドームで開催されたチャイナデーの式典に中国高校生を代表する形で参加したことであった。この式典には日本側高校生を代表して愛知県豊橋市の高校生たち140名も参加した。
23日、帰国前夜に当財団主催で開催された「歓送の夕べ」では、王凡団長が「中日善隣友好を発展させることは相互の利益に叶い、アジア太平洋の平和、発展に貢献する。中日両国人民はともに優秀でアジア太平洋地域に貢献する任務がある。歴史を鑑とし、未来に向かうということを目標に、互いにwin, winの関係を構築し、ともに発展することを願ってやまない。本日の歓送会をもって今回の滞在日程にピリオドを打つが、両国人民の心は万里の長城のようにどこまでも続くことを願う」と挨拶した。そのあと訪日団を代表した6名の生徒が感想を述べ、異口同音に「日本は自然が美しく、環境に配慮された生活をし、人々は親切だ」と日本滞在の印象を述べた。
なお、一行は東京で逢沢外務副大臣、河野衆議院議長、岐阜県では古田岐阜県知事に会見した。また、23日の歓送の夕べには、外務省から兒玉アジア大洋州局審議官、文部科学省から樋口大臣官房審議官が臨席され、来賓として挨拶、駐日中国大使館からも李東翔公使参事官が乾杯の音頭をとって高校生に「21世紀日中関係の架け橋となるよう願っている」と激励した。 (2005.5 総合交流部)