5月の談話会テーマは「中島敦と西遊記」でした。講師の閻瑜さんは現在早稲田大学大学院の客員研究員で文学博士、中島敦を中心に日本文学の研究を続けています。閻さんは中島敦の格別のファンであり、そう多くはない作品群から「わが西遊記」が取り上げられました。スピノーザやパスカルの影響を指摘しつつ、西遊記の傍役である沙悟浄が自己の存在を確認するため、流沙河底に住む妖怪の賢者を訪ね歩く魂の遍歴について話してくださいました。中島敦独特のユーモアから、彼の戦争観まで話が及び、構成のしっかりした明快な講演で、出席者の感想は上々でした。 (2006.5 後楽会事務局)