2008年度中国高校生訪日団第2陣が来日 Aコースは東京、石川、徳島、宮城、青森で交流
2008日中青少年友好交流年 中国高校生訪日団第2陣(葛振江総団長)が、5月13日から21日まで来日した。今回派遣されたのは、江蘇省、安徽省、遼寧省、雲南省、青海省、上海市、甘粛省、重慶市、四川省の2市7省から選抜された中国高校生399名。来日直前の12日、派遣元のひとつである四川省にてマグニチュード8.0の大地震が発生するという奇禍に遭ったものの、団員は北京にて家族全員の安否を確認、予定通り、Aコース199名、Bコース200名の2コースに分かれ、無事全員揃って成田・関空より来日した。受入れ業務は、Aコースを当財団が、Bコースを(社)日中友好協会がそれぞれ担当した。両コースは、東京にて外務省表敬訪問、日中関係に関するセミナーにそれぞれ参加、Aコースは石川、徳島、宮城、青森を訪問、Bコースは北海道、福井、三重、岐阜、長崎を訪問し、各地で高校訪問やホームステイ等を通じて、日本の高校生や一般市民と交流した。
Aコースは江蘇省、安徽省、遼寧省、雲南省、青海省からの199名にて構成。2日目に開催された「日中関係に関するセミナー」では、昨年に引き続きトヨタ自動車株式会社から笹之内雅幸理事が講演。自動車の歴史から始まり、現在、トヨタ自動車が取り組んでいる環境技術の開発について詳細な紹介をした。セミナー前にトヨタ自動車展示場を見学したこともあり、中国高校生は、地球規模の問題である環境問題に対し、積極的に質問していた。 歓迎レセプションはA・B両コース共催にて東京で開催。訪日団を含め日中双方総勢500名近くの出席者が集まった。来賓には、木村仁外務副大臣、孫建明中国大使館公使参事官、伊藤信太郎衆議院議員、太田昭宏衆議院議員、澤雄二参議院議員、丸川珠代参議院議員などが顔を揃え、高校生にエールを送った。第二部では、都立狛江高校筝曲部の生徒が現代的でダイナミックな琴の演奏を披露、中国高校生も合唱や舞踊、書道のパフォーマンスで会場を盛り上げた。
ホームステイは丸一日 Aコース一行は、4日目からは分団に分かれ、石川県、徳島県、宮城県、青森県へ移動、各地にて翌日訪問する高校の生徒宅などで1泊2日のホームステイを実施した。昨年度はホームステイを平日に実施したことから、ホストファミリーから交流時間が短すぎたとの意見が多く寄せられた。そのため、今回からは日曜午前に対面した後、丸1日、ホストファミリーと過ごせるよう日程を組み直した。当日は、休日とあって殆どのホスト生徒が家族と共に出迎えに訪れた。互いに恥らいながらも自己紹介を済ませ、その場で解散。多くの家庭はそのまま家路を辿るのではなく、商店、デパートなどに買い物に行ったり、外食やドライブを楽しんだり、温泉に入りにいったりと、近隣で観光を楽しみながら過ごした後、帰宅したようだ。夕食は親族や友人を招いてのホームパーティーを開き、賑やかに過ごした家庭もあった。ゆっくりと交流のひと時を過ごしたことから、翌日は皆、打ち解けた様子で登校。口々に昨日の交流模様を語り合い、見送りに来たホストファミリーに涙して別れを告げる光景も見受けられた。
好評博した学校交流 一行は、日本滞在中、東京で1回、地方で1回、計2回、高校を訪問し、同世代の高校生との交流を図った。東京は8校に分かれて3日目午後に都立高校を訪問し、様々な授業や部活動に参加。中には和菓子職人を招いての製菓実習や、和太鼓、琴、生け花、浴衣を着ての茶道体験を用意した学校もあり、人気を博していた。 地方に分かれてからの学校交流は、ホームステイの翌日とあって、いずれの学校も和やかな雰囲気のもと始まった。石川、徳島、青森コースでは訪問校にて昼食をとった。多くの高校で、交流会形式の昼食会が催され、日本側生徒との歓談を楽しんだ。中には、ホストマザーから手弁当を持たされた中国高校生もいた。交流内容は、民芸部の人形浄瑠璃の鑑賞、うどん打ちや阿波踊り体験など郷土色豊かなプログラムから、相撲部での四股踏みやぶつかり稽古体験、運動会参加、日本文化に関わりのある絵の描かれたカードを床に並べ、日本側生徒が英語で説明し、中国高校生が当てるゲームなど、様々な趣向が凝らされた活動が用意されていた。中には、別れ際に一人一人にホストファミリーとの交流写真を入れたアルバムを贈った学校もあり、中国高校生は感激した面持ちだった。また、今回は、四川省大地震の被災者へのお見舞いとして千羽鶴を贈ったり、義捐金活動を行う学校が数多く見受けられたのが特徴的で、こうした心遣いに対し、中国高校生が涙ぐむ場面もあった。 また、総団長が訪問した石川県では、学校訪問前に県庁を表敬訪問した。中西吉明教育長や向峠日出雄観光交流局次長から歓迎の辞が述べられ、続いて石川県の概要説明、県議会の議場見学などが行われた。高校生は興味深げに説明に聞き入っていた。 最終日前日には、外務省を表敬して報告会を行った。宇野外務大臣政務官からは、被災者へのお見舞いの言葉とともに、日本政府として総額5億円相当の資金援助と援助物資供与、国際緊急援助隊の派遣を行うことが述べられた。また、続く歓送会では、被災者の冥福を祈り、全員で1分間の黙祷を捧げ、パフォーマンスは取りやめにするなど、しめやかに執り行なわれ、プログラムの最後を締めくくった。 5月21日、訪日団Aコース一行は、多くの成果を携えて、成田空港から帰国した。本団の受け入れにご協力頂いた外務省、文部科学省、各県教育委員会と関係団体、学校関係者、ホームステイ家庭の皆様方に厚くお礼申し上げたい。(総合交流部)