平成22年度中国高校生訪日団第6陣 参加者の感想文
【日本高校生の感想】 ○「高校生たちの気持ち」 今回は日中の関係があまり良くない中での訪問だったので、中国の高校生は日本のことをどう思っているのか気になりました。でも、私たちと一緒に会話した人たちはとても積極的に話してくれて、しかも日本と中国は仲良くしなければならないと言ってくれてとてもうれしかったです。 何故こんなに子ども同士は仲良くできるのに国同士はそうならないのかとても不思議になりました。全く中国語が話せない私でもジェスチャーや英語でやりとりができてうれしかったです。これをきっかけにもっと中国に関心をもって中国語の勉強をしたいなと思いました。今回の交流はとても良いものだったと思います。また、できたらいいと思います。(埼玉県1年女子) ○「中国と一緒に」 中国とは関係がいい時もあれば、正直言って悪い時もあると思います。でもそれはメディアによって大部分が編集されているということも、今回改めて感じました。日本のテレビでは、反日デモの行進がよく見られます。その度に日本人だって中国に対して敵意を抱いているでしょう。しかし私たちは未来を任せられている身です。このことは中国人も理解していると思います。だからこそ、今回このような交流会で日本に対して興味を持ってくれている子がたくさんいることを知り、反対に私も中国に対して興味が出てきました。大人の事情、たくさんあると思います。でもその氷を少しずつ解かしていくのが私たちの役目でしょう。将来もっと今より中国と良い友好関係が結べることを願っています。(埼玉県2年女子) ○「サンキュー Chinese!」 中国高校生訪問は私たちにとってとてもいい刺激になったし、予想以上に楽しむことができた。今、日中の間ではいろいろな問題があって、ニュースを見る限り、あまり中国に対するイメージは良くなかったし、言語とかも違うから、始まる前は正直不安だらけだった。しかし会ってみると、私の思っていたイメージとはまったく違った。お昼を一緒に食べた時は、お互い英語で質問しあったりした。ところどころ通じない時などもあったが、中国高校生たちはとても明るく接してくれた。また一緒に英語の授業を受けた時には、中国の高校生たちの英語力に驚いた。 彼らはいきなり自己紹介をすることになっても文句一つ言わず、思った文をすぐに英語にして言っていた。この授業で「英語がんばろう!」と、彼らからいい刺激をもらった。また放課後の交流会はかなり楽しむことができた。交流会では中国高校生たちの踊りを見たり、一緒に写真やお菓子を食べたりした。本当に短い時間だったけど、心を通じ合うことができた気がする。言語は違っても、分かり合うことってできるんだなと思ったし、たとえ日中の間で問題があって、テレビなど良いイメージを持たないことがあったとしても、別にそれがすべてではないと肌で感じることができた。私はこの中国高校生訪問に関わることができて本当に良かったと思う。また将来中国に行ってみたいなと思った。(千葉県1年女子) ○「日中関係」 私は今年6月に中国訪問団として中国を訪れました。 去年、中国の高校生を受け入れた時に比べると、習慣・マナーなど、異文化に触れてからの今回の受け入れにはいろいろな思いがありました。私が中国でホームステイした時、中国語が全くわからず、(*補足:ホストファミリーは)わかりやすい英語でゆっくり話してくれました。そして何よりうれしかったのは、常に笑顔で接してくれたことです。 私が前回受け入れた時、中国の高校生の英語力に圧倒され、一所懸命しゃべってくれているのに聞き取れない自分が嫌になりました。そんな私に笑顔でいる余裕などありませんでした。言葉も分からない、初めてくる日本でのホームステイを最高のものにしてあげたかったのに、私がもっと不安にさせてしまっていたと反省しました。そして今回笑顔でいることを目標にがんばりました。 笑顔でいれたかは分かりませんが、積極的にコミュニケーションをとることができました。そしてどうして日本に来ようと思ったのか?と質問すると「日本と中国の架け橋のためだ」と堂々と答えてくれました。 尖閣諸島・デモの問題などニュースをやっている今、中国に行き、何も知らない土地で「私は友好のためにここに来た」とはっきり言うことが今の私にできるかと考えさせられました。 今回、中国の生徒を受け入れ、たくさんのことを学ぶことができました。ありがとうございました。(京都府2年女子) ○「中国人との交流を通して」 ホームステイを受け入れたのはこれで3度目ですが、その度、その“国”をとても身近に感じることができます。今回、初めて中国人と近く触れ合う機会を通して、私の知らなかった中国人を知ることができました。日本・中国という、切っても切れない縁で結ばれたこの二カ国でお互いの文化、人格、思想を学び合う事は、例えそれが相入れないものであっても、相互を尊重するという最も基本なことにとても重要な役割を果たすということを、今回を通して感じ、気付くことができました。(京都府3年女子) ○「拍手」 「中国人が学校に来る。」学校中、この話題でもちきりだった。しかし、私は不安でいっぱいだった。英語は話せても中国語は話せないと。さらには先日発生した尖閣諸島問題で中国人の反日感情が増大しているからだ。この不安は中国人たちと交流を行うまでぬぐいさることはできなかった。 しかし、いざ交流が始まり、我校の会長の挨拶中に訪中する生徒の紹介があった(*補足:日本高校生訪中団第3陣として12月に訪中)。その時に中国人たちから拍手が起こった。この瞬間、私の不安はきれいになくなった。むしろ私は、何という恥ずかしい考えをしていたのだろうと反省した。 中国について全然知らない私にとって、訪日団の中国人と交流できたということは、中国について知る大きな機会となった。しかし、まだまだ知らないことはたくさんある。次回は私たちが訪中する。その時に、私は今まで知ることのなかった中国を目にしたいと心から思った。(兵庫県3年男子) ○「日本と中国」 はじめ中国から生徒が来ると聞いた時、大丈夫かな?と思いました。なぜなら今、日本と中国は少しもめているからです。でも中国の生徒から、日本人がすごく親切にしてくれていると聞いて、ほっとしました。 今、国と国の仲が悪くても私たちが友達になって仲良くなれば、将来国と国で協力し合い仲良くできると思います。 だからもっともっと交流をして、お互いの意見を尊重し合えるような関係を築けるようになりたいです。(兵庫県1年女子) ○「まだまだ」 最初ホームステイを受け入れる時に感じたのは、“中国人”という違和感だった。ニュースなどでよく見かける反日運動、領土問題、内容は多岐にわたります。そして我が高校に来校し、自分たちは歓迎会をやりました。そして放課後、自分のホームステイの人は男性でした。自分が中国語を嗜んでいた事もあり、会話はほとんどが中国語でした。日本語や英語がペラペラなんだろうとなと思っていたのですが、彼は「我会说一点儿(少し話せます)。」と言ったので、自分は自分の中国語を発揮することができる、とうれしい反面、不安な気持ちでした。 夜はお好み焼きを食べました。彼は「おいしいと」言ってくれたので、とてもうれしかったです。寝る時に、「歯は磨きましたか。」と聞くと、彼は「中国では私は歯を磨きません。」と言ったので、とてもびっくりしました。 朝になると母が納豆を出してきたのですが、僕は「多分食べられないだろうな」と思っていたのですが、なんと彼は全部平らげたのでとても感心しました。昼は龍馬記念館に行って蝋人形を見てきました。そして昼にはお寿司を食べて、彼を見送りに行ってきました。別れる時はとても悲しかった事を鮮明に思い出します。 このホームステイを通じて感じた事は、自分の中国語のレベルがまだまだなのと、“中国人”という自分の偏見の愚かさです。やはり新聞やニュースなどでは見えてこない中国人の温かさを経験させてもらいました。 また、情報を得る時とかにも“さまざまな観点から見る”ということを学ばせてもらったのが、一番の体験だったのではないかと考えます。もしまたこのような機会があった時には、迷わず異国の文化と人の温かさを学びたく存じます。(高知県3年男子) ○「中国人留学生を受け入れて」 私の心にぽっかり開いた穴。その穴はこれからも決して埋まることはないと思う。言うまでもなく、この穴は彼女と別れた時に開いたものだ。今、彼女はどうしているのだろう。そんなことに思いを馳せながら、彼女と過ごした3日間について振り返ってみようと思う。 今回の3日間の中で私が一番印象に残ったことは二つある。一つ目は、彼女とかつての日本の都である奈良を見てまわったことだ。今から約1,300年前、日本は彼女の国から鑑真和上を招いて授戒を行った。鑑真和上は5度も失敗し、失明したにもかかわらず、私達の国へ来てくれた。そんな中国と日本の強い絆が見える奈良を、彼女と一緒に見てまわれたことは、私にとってとても意義のあるものになったと思う。 二つ目は、お別れの時に彼女が流した涙だ。言葉もスムーズには通じず、3日間という短い期間を共に過ごしただけなのに、彼女は私たち家族との別れに対して涙を流してくれたのだ。その涙は温かくて、でも切なくて、私たち家族も涙を流さずにはいられなかった。ふと周りを見渡すと、ほかのホストファミリーもやはり私たちと同じで別れを惜しんでいるようだった。中国と日本。国も言語も文化も違うけれど、人が持つ別れを悲しむという気持ちは、やはり一緒なんだなと改めて感じた瞬間だった。 現在中国と日本は、政治的な面で非常に緊迫した状態が続いている。日本人の中にも、中国人の方や中国という国を非難したりする方がいるが、私は非難する前にもっと中国とそこに住む人たちについて知ってもらいたいと思う。正直、私もホームステイを引き受けるまでは、わずかながらも、中国という国を特別視する気持ちがあった。しかし実際に中国の子と過ごしてみると、私たちと何も変わらないことに気が付いた。宿題をいやだなぁと思う気持ちがあったり、テレビドラマが好きだったり、好きなアイドルグループがいたり…日本のteenagerと同じであった。言葉がスムーズに伝わらなくても、伝えよう、必ず伝えてみせると、一所懸命コミュニケーションを取ろうとする彼女の姿勢には、日本人が昔から持つ“思いやりの精神”を感じることができた。彼女は私たちにコミュニケーションの方法はもちろん、日本人の根底にある“思いやりの精神”さえも教えてくれたように思う。一緒に過ごした日数は少なかったけれど私たち家族はとても大切なものを彼女からもらった。最初は引き受けるか迷ったホームステイだったけれど、終わった今、本当にやってよかったと感じている。最後に彼女へ向けて。「私たちと出会ってくれてありがとう。」(愛知県2年女子)