平成22年度 中国青年メディア関係者代表団 感想
●最も強烈に感銘を受けたことは、共同通信社の訪問、見学であった。各ニュース会社にとって、ニュースは命の源である。時間の価値は各ニュース会社の根本である。これを聞いて私は次の言葉を思い起こした。1秒前にはニュースであったものが、現在の1秒には情報となり、1秒後にはごみとなる。共同通信社はこの分野で先頭を切っている。上高地の見学は印象深かった。私はある記者に、なぜ上高地の景勝地にはごみ箱が1つもないのかと尋ねた。管理員の回答は、ごみ箱がなければごみもないという内容だったと思う。こうすると人は自発的に携帯する物の量を減らし、根本的にごみの量が減ったという。真に環境保護の理念を体現している。我々はまだ長い道のりを行かなければならない。 (環境保護分団) ●千葉と大分で私が見たのは、日本の伝統的な農家の黒い屋根と赤い壁が、稲田のあぜ道が行き交う黄金の中に映え、その周りを緑の山が囲み、間を溪流が潤している光景だった。農民の顔からは豊かさと尊厳が感じられた。詩経に「彼の楽土に適かん、ここに我が所を得ん」とあるが、私はこの光景こそ東方哲学で描かれた「楽土」だと感じた。東京の地下鉄の通路をサラリーマンが慌ただしく駆け回っている光景と比べて、日本の農村は理想郷的な審美価値と体験に、よりかなっている。 日本の農村の現状は第二次大戦後の土地改革と公平な社会分配メカニズムの構築に端を発しているが、具体的に私たちが視察した内容は、広範かつ多様に存在する農民協同組合が核心的な役割を担っていることだった。農協の要となる点は、農民の自前の組織であることだ。組織の核心はそこからもたらされた交渉能力にある。関係する大企業に対してであろうと、政策を制定し公共品サービスを提供する政府に対してであろうと、組織された農民は対等な交渉能力を持っている。このような能力こそ合理的な利益分配を基本的に保証するものである。それとはまた別に、「一村一品」等の発展方式も非常に成功したといえる。 「一村一品」等の具体的な方式だけに関わり、その背後にある地方末端組織の自治と農民組織を参考にしなかった場合には、表面的な「技」だけで、本質的な「学ぶこと」を見ていないことになる。もし、さらに広範な地域とより深いレベルで日本農村の経験を普及させたならば、砂上の楼閣に近いものになってしまう。 中国の農民がこのような組織や交渉能力を持つことが許されるだろうか。現状を客観視すると、決して楽観できない。しかし硬貨にはすべて裏面がある。日本の経験を一足飛びに参考にできないならば、「一村一品」等の具体的な方式を発端として、いくつかの拠点で地方末端組織の自治と農民組織を試験的に育成すれば、未来への道筋を探究する一つの方法とすることができるかもしれない。 日本の外務省が提示したデータによると、約60%の日本国民は中国に好感を持っていないそうだ。しかし、私たちの旅程で出会った人々は皆、私たちや中国に対して心から好感を抱いていた。これは明らかに日本側がお膳立てしてくれていたためだろう。 東方民族に固有の「おもてなしの道」から来ており、これはもちろん非難すべきことではない。日本側の誠意と願いが十分感じられた。しかし、私たちはやはり客観的に存在する「60%」に対して目を背けてはいけない。 交流であろうと、逃げてはいけない。私もこの60%の人が抱いていることにとても関心がある。彼らは具体的にどのような意見を持ち、中国に対して一体どのように感じているのか、その原因は何なのか?彼らと面と向かって話し合い探究できたら、得るところもまた非常に大きい。 「天の道は余り有るを損して足らざるを補う」。この60%の「足らざる」に対して、より交流を持たなければならない。交流活動をさらに現実に近い環境の中に設定しなければ、より良い結果を得ることはできない。真実、真相、そして掛け値なしで面と向かわなければ、情報の偏りがもたらす偽りの姿や誤解を解かすことはできない。 (都市と農村分団) ●相違点と問題点以外に、一週間で私は自信も感じた。日本の高層ビルはわが国にもあり、日本の制度も私たちは学び参考にしている。現在私たちが発展を堅持し、絶え間なく自国を整備していけば、中国は必ずもっと良くなるであろう。 (都市と農村分団) ●両国国民はお互いに理解していないか、理解が不十分である。メディア、ネットを通じて一部のことを理解しているだけである。しかしこうしたことでは狭く、両国のメディアとメディア関係者の相互信頼、交流も、緊密さに欠け、素直さと誠意に欠けている。両国のメディア関係者は、まずお互いを信頼し、心から友好的にならなければならない。相手国の状況を報道する時は、個人的感情を交えず、客観的かつ理性的に真実を正確に報道しなければならない。特に人々の生活面の状況を多く報道し、両国国民の相手への感情を高めるようにしなければならない。相手国の積極的な一面を多く報道し、できるだけお互いを非難しないようにしなければならない。 両国の交流の強化は不可欠である。各分野において協力を強化し、政府はプラットホームを大いに提供しなければならない。 両国は文化交流を強化すべきである。中国は日本国民に人気のある一部の映画、テレビドラマ、舞台等に対して相互訪問して演出すべきである。第一に私たちが日本の若者や大学生と懇談したときに、彼らは中国の歴史文化、名勝古跡に興味を抱き、台湾や香港の映画、テレビドラマに関心を持っていたので、文化を交流の架け橋や絆として、協力と交流を強化しなければならないことである。第二に両国の文化人による協力の強化、文化的なプラットホームの共同構築、文化的な作品の製作を図り、作品を放映することによって、相互理解を深め、両国の友好を強化することである。第三に教育面での協力と交流を強化することである。「千里の道も一歩から」というように、最も基礎的な仕事から取り掛かり、青少年の教育交流を手始めに、広範な交流の場を提供し、幅広く交流し、長所を取り入れて短所を補い合い、ウィンウィンの関係を築き、未来に目を向けて、共に発展を目指すことである。 (日中関係分団)