平成23年度中国社会科学院青年研究者代表団第2陣が来日 「中米関係・日米関係」、「司法関係」をテーマに交流
9月12日から18日までの日程で、平成23年度中国社会科学院青年研究者代表団第2陣(団長=楊光・中国社会科学院西アジア・アフリカ研究所所長、副団長=庫蘭・尼合買提・新疆社会科学院 院部 副院長)が来日した。 本団招聘事業は、当財団が外務省から委託を受け実施するもの。一行は、中国社会科学院及び地方の社会科学院に所属する若手研究者50名で構成され、 「中米関係・日米関係」及び「司法関係」をテーマに2グループに分かれ、東京のほか広島を訪問した。 9月13日夕刻に行われた当財団主催の歓迎レセプションには、山野内勘二外務省アジア・大洋州局参事官、孫美嬌中華人民共和国駐日本国大使館政治部参事官らが出席し、賑やかに行われた。山野内参事官の歓迎の言葉に続き、楊光団長は挨拶で、来日日が中秋節であったことに触れ、「中秋は収穫の時期でもあり、希望を込めて種をまく季節でもある。 我々は先輩方が撒いた種を収穫すると同時に、新たに日中の友好と希望の種を撒きに来た」と述べた。 代表団は、東京でテーマごとの交流を行った後、広島へ移動した。9月16日午前には、湯崎英彦広島県知事を表敬訪問し、湯崎知事より、原爆が投下され大きな被害を受けた広島が、どのように復興を成し遂げたかについてお話を聞いた。午後には広島大学を訪問し、浅原利正学長をはじめ、大学院社会科学研究科法政システム専攻を中心とする研究者、大学院生らに迎えられ、学術交流会に参加した。終了後は、引き続き夕食交流会が行われ、日中双方計約90名が食事をしながら自由に懇談し、賑やかな交流となった。 中米関係・日米関係をテーマに研究者と交流 分団別の活動として、中米関係・日米関係分団は、まず外務省で「日米関係」、防衛省で「日本の安全保障」をテーマにブリーフを受けた。また、日本貿易振興機構を訪問し、米国における日本企業の動向や投資状況に関し理解を深めた。 東京財団の交流では、日中双方の研究者同士がテーマに関し自由討議の形態をとった。中国脅威論、人民元のグローバル化、文化交流や日本の内政問題についてまで、幅広く活発に議論が展開し、内容の深い交流となった。 また、日本国際問題研究所では、「米中関係」「アジア太平洋」「日米関係」について日本側3名から短い発表があった後に意見交換。台湾問題、TPP、主要国の首脳の交代時期を迎える2012年以降の日米中の新たな関係についてなど、率直な意見交換が行われた。 広島大学の学術交流会では、斉晧・中国社会科学院アメリカ研究所助理研究員より「日中の構造的矛盾と日中米関係」をテーマに基調発表を行い、日中双方から質問が相次ぎ、時間を延長して行われるほどであった。 日本の司法領域について理解を深める 庫蘭·尼合買提団長率いる司法関係分団は、東京滞在中、法務省、最高裁判所を訪問し、法務省業務および日本の司法制度全般についての理解を深めた。また日本弁護士連合会での交流では、日本における会社法と独占禁止法についてブリーフを受けた。日本企業が中国国内で企業展開した際に、実際におこった案件をテーマにして、日中双方で活発な意見交換が行われた。 研究者との交流では、山田省三・中央大学法科大学院教授による「日本の労働法」についての講演を聞いた 講演後は、労働者の長時間労働や時間外労働についてなど、日中両国が共通して抱える問題について議論が展開された。 東京日程の最後には、府中刑務所を視察。施設概況の説明に続き、実際に戒護区域内も見学した。日本人でもなかなか足を踏み入れることができない場所だけに、視察後、団員の多くが「貴重な体験をすることができた」と充足の面持ちであった。 広島大学の学術交流会では、同大学の岡田昌浩准教授より「日本会社法の改正動向」をテーマに基調発表があった。日本弁護士連合会との交流とはまた一味異なり、日中双方、研究者の観点からさまざまな意見が出され、予定の時間を延長して質疑応答が行われた。 一行は、このほか、広島平和記念資料館、原爆ドームを参観し、平和に対する思いを強めた。 9月17日に行われた歓送報告会では、団員代表が訪日を通しての日本に対する印象や専門交流における感想を述べるとともに、「日本と中国は、共通点も異なる点もある。しかし胸襟を開いて交流することこそが重要であり、それこそが我々研究者が行うべき真の学術交流である」と訪日の成果を総括した。 代表団は全てのプログラムを終了し、9月18日に関西空港より帰国の途についた。本代表団の受け入れにご協力下さった外務省及び関係機関・大学等の皆様に、この場を借りて厚く御礼申し上げたい。 (総合交流部)