公益財団法人 日中友好会館 JAPAN-CHINA FRIENDSHIP CENTER
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総合交流部
  2011日本教育関係者訪中団(第十七回都道府県教育訪中団) 団員の感想
 
 

「子どもたちのために ~ともに手を携え合える関係を~ 」
    
    今回の訪中によって、自分の中で考え方が変わった。もちろん、中国という国に対する印象も変わったが、何よりも中国の人々に対する見方が変わった。少なからずメディアからの情報による先入観があったことは否めないが、益々中国のことが好きになり、中国の人への好感度は確実に高まった。
    元来、長い歴史があり、広大な国土と多様な文化を有する国家である。そこに、今話題の経済成長が加わったらどうなるんだろう、というのが訪中前からの関心事の1つだった。
    北京・西安・上海と3都市を回ったわけだが、3都市ともに違う顔を見せてくれた。北京では経済発展と中国の自信とも威厳ともいえる雰囲気が感じられたかと思えば、西安では発展と歴史がうまい具合に融合し、そして上海では急速な発展に伴う「before-after」が一度に見ることができた。感動と感心の連続であったのは言うまでもない。
    一方、教育政策は、中国にとって重要課題の1つであり、積極的に教育への投資を行っているようで、日本の教育機関と比べても見劣りしないのではないかと感じさせられた。いやそれ以上に驚嘆させられたのが、中国の先生たちの姿勢と意欲であった。中国の先生たちとの座談会を繰り返す中で感じたのだが、先生方は非常に情熱的で、前向きかつ積極的だった。そして語り合ううちに、いつの間にか日本だとか中国だとかということを忘れ、同じ教師仲間で語り合っているような気持ちになっていた。今、本音というか(叶わないかもしれないが)願いを一つだけ言わせてもらうなら、もっと中国の先生たちと「子どもたちをどう育てていったらいいか」ということについて語り合いたかった。やはり、あの短い時間では表面的な部分で終わってしまったし、せっかく深いところに話が向き始めたと思っても、時間切れということも珍しくなかった。それが心残りである。
    帰国後、ある人に中国の学校について話をしたところ、「訪中団で行っているのだから、見てもらっても大丈夫な学校しか公開されていないのではないか」ということを言われた。確かに、それは間違っていないと思う。けれど、そういう(公開してもいい)学校を訪れて知ったのが、日本と同じ教育課題に直面しているということであった。日本の子どもたちと同じような学力や家庭への悩みを持ち、同じようなしんどさを抱えている子どもたちが中国にもいる。この事実を知ったことにも驚いたが、それをあの公式の場で話してくれた、オープンにしてくれた中国の先生たちを私は素直に素晴らしいと思うし、度量の広さに敬意を表したい。やはり、もっと突っ込んだ話がしたかった。
    訪中前、社会科の教員であるからこそ抱いていた先入観があったのは事実である。と同時に、私自身が小学生の頃から抱いていた中国への憧れを持っていたのも事実である。そんな私が、実際に見て聞いて肌で感じることができたことは大きな価値があった。なぜなら、中国の「明」と「暗」の両方を見たからこそ、中国そして中国の人たちを明るいイメージで捉え直すことができたからである。世間という日本人が中国をどう捉えているかはわからないが、学校という場で子どもたちを育てている一人の教育のプロとして、中国の先生たちは一緒に手を携えていきたいと思える人たちだと思った。そんな気持ちにさせてもらえ、そういう人たちと出会えたことは、私にとってかけがえのない財産である。(中学校教諭)



「『学びのパワー』溢れる中国」
    
    「宇宙実験室打ち上げ成功」など、中国に関する報道は、帰国後も毎日のように我々の耳に届く。今回の訪中を経て、今まで以上に中国に関心を持つようになったことも一因としてあげられる。しかし、それ以上に現在の国家としての勢いを物語っているといえる。
    「世界の工場」から「世界の市場」へと変貌する中国。その急成長を支えるのは優秀な人材である。その人材育成を支える教育事情には、以前より関心があった。今回の訪中は、発見や驚きの8日間であり、これまで私が抱いていた中国に対するイメージが一新された。
    訪問した学校では、生き生きと意欲的に授業や活動に取り組む生徒に出会うことができた。黒板をまっすぐ見つめ、先生の話に頷きながら、真剣にノートを書く。大きな声で、先生に続いて教材を音読する。見学させて頂いた多くの教室には「学びのパワー」がみなぎっていた。彼らの未来を拓こうとする意志が「学びのパワー」として充満していたのだ。
    現在の中国は、将来の目標が設定しやすい環境にある。昨年より今年、今年より来年と右上がりの成長曲線を描く現在の中国では、学校で好成績を残し、上級学校へ進学することは将来の成功へと繋がりやすい。そのため、生徒自身が明確な将来像を描くことができる。理想とする将来を実現するために、彼らは勉強に励むのである。そのような彼らのために先生方は、日々全力で指導されている。日本よりもはるかに厳しい競争とランク付けの教育現場で奮闘されている先生方の生徒への愛情は、日本と同じであった。国や教育現場が変わっても、生徒に対する期待や愛情は、万国共通であると思った。
    価値観の多様化した成熟社会へと変化する日本では、将来の目標は生徒一人ひとり異なる。明確な将来の目標が設定しにくい中で、生徒一人ひとりと向き合い、彼らの中に眠る「学びのパワー」を引き出すことが我々には求められているように思う。中国の生徒たちの学びの姿勢から教職に就く者の責任と使命感を再認識させられた。
    今回の訪中を通して、中国は以前より身近な国となった。各都市での学校訪問や交流会で知り合った人々との出会いや中国が誇る世界遺産「万里の長城」や「始皇帝兵馬俑」の見学は、私の一生の財産となった。今回の経験を現在の生徒たち、そして、未来の生徒たちへの教育活動に活かしていきたい。最後になりましたが、このような貴重な機会を与えて頂きました財団法人日中友好会館をはじめとする多くの皆様に厚くお礼申し上げます。(高校教諭)



「素晴らしい先生方と過ごした8日間」

    はじめに、今回の日本教育関係者訪中団としての貴重な視察や研修の機会を企画し、様々な御配慮を頂きました外務省、文部科学省、日中友好会館、中国日本友好協会の関係者の皆様に感謝と御礼を申し上げます。また、8日間の視察や研修で、実際の中国を共に見て感動し、感じたことを語り合った団員の皆様に御礼申し上げます。
    さて、私の中国訪問前の印象は3点ありました。経済面では実質GDP成長率を平均10%で維持し、日本を上回って米国に次ぐ世界第2位の急速な経済成長を遂げている国、小学校や中学校では過密なスケジュールの中で授業が行われ、進学に向けた勉強やテストに追われている生徒、そして、過去の日本と中国で起きた出来事に伴う日本に対する厳しい国民の感情等です。
    しかし、実際に自分の目で中国の経済成長や教育事情を拝見し、街を歩いた時にすれ違う中国の人々の雰囲気を感じることで、自分自身の中国に対する認識や何を教育関係者に伝えていくのかが分かったような気がしています。訪問前の印象に対する感想を3点示したいと思います。
    1点目は、経済面で躍進する中国です。訪問した都市である北京、西安、上海では、巨大な建物や構造物の建築が、様々な場所で見ることができ、工事現場のどのクレーンも建築資材を担ぎあげていました。そこでは、発展する中国を感じると同時に、それらを支える豊かな資源や労働力、巨大な建築物を作り上げる技術力を感じたところです。
    2点目は、教育分野での工夫です。訪問した小学校、中学校、中等教育学校、大学の担当者が共通して取り上げていたのは、生徒の心のケアについてで、とても印象に残りました。どの保護者も、子供には立派になってもらいたいと願っており、国も「全ては子供のために、子供のために全てを、全ての子供のために」を目標として教育に力を入れている様子が伺われました。こうした中で、心のケアが必要な生徒が中国でも出ていることに心を痛めました。北京市第十九中学では、一つの校舎そのものを心理教育センターとして機能させていました。そこには、保護者から過大な期待が寄せられ、学校の課題についていけなかった生徒の心のケアを図るため、また、生徒がよりよい学校生活を送り、精神状態の安定を図るための工夫が施された教室が整備されていました。
    3点目は、これからの日本と中国の関係です。3日目(9月19日)に訪問した学校において、高校1年生の授業を参観した時に、男子生徒から、訪中団に対して素直な質問がありました。内容は、「日本では、昨日9月18日に何か特別な行事が行われているのか。」というものでした。中国語での意味は分かりませんでしたが、他の生徒の雰囲気で生徒の発言内容の察しがつきました。訪中団の高校籍の地歴科の教員が、「日本の高等学校では、9月18日の件は、授業の中で取り上げて生徒に説明しています。日本としては、このことに対する行事は行っていません。」と答えました。質問した生徒は「分かりました。」と納得した様子でした。私はこの時に、日中の友好関係を深めていくためには、過去の中国との関係を認識し、踏まえたうえで、中国の方と接していかなければならないと強く感じたところです。
    今回の視察や研修で得た成果を当地の教育に還元していくとともに、中国と日本の高校生の交流事業に協力できる場面があれば、今回の経験を踏まえ良い機会が提供できるよう、中国のことや日本のことについて勉強していきたいと思います。(教育庁所属)
 
   
   
 
 
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