公益財団法人 日中友好会館 JAPAN-CHINA FRIENDSHIP CENTER
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総合交流部
 

H23 第16回 中国教職員訪日団 団員の感想

 
 

●戦後60年間に、日本の教育と科学技術は驚異的な発展を遂げた。8日間の体験と見聞は忘れることのできない多くの印象を残した。教育に携わる者として、日本の教育が収めた成果に深い敬意を表すとともに、日本の教育関係者の丁寧な仕事ぶりと、世界に目を向けていることに心を打たれた。

日本の学校教育の理念には国際性と多面性がうたわれ、例えば、武蔵高等学校は、「三理想」、「生きる力」、九段中等教育学校は、「豊かな心 知の創造」、北野高等学校は、「授業第一、文武両道、世界で活躍できる力」等を教育方針に掲げていた。

日本の学校教育は実践の中で学び取ることを大切にし、教科書を用いて学ぶ授業以外に、学期毎に「林間学校」、「スキー教室」、「家庭教室」、「修学旅行」等の体験学習を設けている。日本滞在中、校外活動に参加する小中学生の姿をたくさん見かけた。

日本の教育の新たな改革は、基礎教科の授業の質を高めることにある。学習指導要領は、関連教科の授業時間を増やし、国語、理科、外国語の授業を一層充実させるほか、質の向上のための評価を重視していた。

教員の採用と登用は厳格な制度のもとで行われ、定期的に赴任校が変わることが、地域内の公平な人的資源の配置に役立ち、教育の均等な発展を促している。日本の教師は新しいことに積極的にチャレンジし、総合的能力に優れている。特に、全教科を担当する小学校教師の責任とプレッシャーの大きさからそれをうかがい知ることができる。「真剣な取り組み、周到な配慮、細やかな応対、礼儀ある振る舞い」は、訪問した学校で出会った校長をはじめとする先生方や、随行してくれたスタッフの誰にも感じ取ることができた。

他山の石、以て玉を攻むべし。自らの足りない点に気付くとともに、より強く覚えたのは責任感と緊迫感だった。私は日本の学校教育の優れた点を参考にし、中国の特色と実情に結びつけ、考えを新たにし、改革にチャレンジし、国内外の交流を活発にして、未来の社会に適応できる人材を育てていきたいと思う。未来志向の態度で、生徒や周りの人たちに、ありのままの日本を伝え、中日両国の子々孫々にわたる友好のために貢献したい。


●8日間の訪問を通して、中国と日本の教育には多くの共通点があり、互いに参考にすることができると感じた。生徒の多面的能力を育てようとする日本の教育と、中国が進めている素質教育の理念は一致している。いずれも、生徒の個性を大切にすることを前提に、多面的能力の開花を目指している。日本の高校の授業で採用されているグループ討論、習熟度別授業、選択科目毎のクラス編成などは、私たちのやり方と同じである。しかし、日本は教育理念の実現において、より着実、より効果的である。今回視察したのはすべて大都市にある進学校で、規模は小さいが、教室、実験室、図書館、自習室、クラブ活動室など、学校施設がよく整っていた。経済的に立ち遅れた地域の教育にとって、このようなハード面の条件を備えることは不可能であり、理念は同じでも、その実現に当たり大きな差が生じてしまう。習熟度別授業を例にとると、日本では、教師がすべての生徒に配慮して行っているが、私たちは、成績によって生徒を分けているだけである。選択科目毎のクラス編成にしても、日本では、生徒が本当の意味で「必要に応じて学ぶ」が、私たちの生徒は消極的に受け入れている。同様に、人間性の重視の面で、日本の生徒は個性を存分に発揮することができるが、私たちの生徒は高得点を取る代わりに個性を犠牲にしてしまっている。中国の農村教育は、なお長い道のりを歩まねばならない。私たちは今回学んだ成果を今後の教育活動に生かし、農村教育の質を向上させていきたい。


●日本は悠久の歴史と伝統文化を有する国である。今回、日中友好会館と中日友好協会を通して日本を訪れ、視察の旅をすることができたことは、とても貴重な経験であった。滞在中に、日本の文化や歴史に触れ、教育の現状を見聞し、深い感銘を受けた。狭い国土、清潔な環境、現代的な施設、人にやさしい配慮、日本の人々の温かさやもてなしの心と細やかで実直な対応などが、深い印象となった。

小学校、中学校、高校、大学等の視察と、文部科学省でのブリーフィングを通して、日本の学校教育について系統的な理解をすることができた。まず、基礎教育を極めて重視している点である。カリキュラム、授業、生徒の3つのポイントのいずれも「生きる力」の教育を重視し、その上で、学科と技能の習得および思考力、判断力、表現力のバランスある養成に力を注いでいる。また、道徳と体育を充実させて、豊かな情操を養い、健康な体作りを行っている。これらの実現に向けて、小、中学校の授業時間も増加している。また、日本は生徒の多面的能力を養うことを重視し、教育を実体験、社会、経済と結びつけている。

次に、教育内容が充実している。学校視察の中で、「充実」をいくつか実感した。(学習指導要領の教育内容の主な改正事項に提起されている)

①充実した言語活動:カリキュラムの中で十分な授業時間が確保され、特に表現力を育てることに力が注がれている。例えば、北野高等学校では、数学の授業で、教師と生徒、または生徒同士が議論し、生徒は解答の過程を説明する訓練を行っていた。

②充実した文化伝統関連の教育:視察した学校はどこも伝統に根ざした活動と、書道や柔道などの授業が行われていた。

③充実した体験活動:クラブ活動はすでに教育制度に組み込まれており、他にも修学旅行や、中学生の工場や会社における仕事体験などがあり、日本の教育の特色をなすとともに、個性を伸ばすことへの重視の表れでもある。

④充実した外国語教育:外国語教育が極めて重視されており、英語の授業の多くに教師が二人配置され、クラスを分けるか、少人数制を取ることによって、外国語を学ぶための良い環境が整えられている。九段中等教育学校では、毎朝イングリッシュシャワーの時間を設け、英会話力のレベルアップに努めるとともに、コミュニケーション能力と自信を養うことにつなげている。

7日間の視察訪問を通して、日本の教育に対して全く新しい認識を得ることができた。帰国後、これらの新しい理念と方法を仕事に応用し、中日文化教育交流と我が国の教育事業の発展に貢献したい。

 
 
   
 
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