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2011日本青少年訪中代表団第2陣 団員の感想(青年)
Aコース(経済、友好団体)【北京-福建省(福州)-広東省(広州)】
「訪中を通じて感じたこと」
中小企業の成長・発展を支援する経済団体の職員として、「中小企業の海外展開」を自分の中の一つのテーマに今回の訪中団に参加させていただいた。結論から言えば、中国は中小企業が展開する市場としては大いに魅力的で、その可能性を感じさせるものであった。
最初に訪問した北京では、故宮博物院や天安門広場の視察、中国武術の観覧など、中国の歴史・文化・芸術に触れ大変興味深かった。また、空港やその付近のインフラは整備され、街には自動車も人通りも多く活気があり、成長著しい中国の現状を目の当たりにした。しかし一方で、世界第二位の経済大国の首都としては少々物足りなさも覚えた。中心部を離れた場所での道の舗装状況、提供される商品・サービスの質といった面では日本を含む先進国にはまだ及ばないと感じたためである。中国発展研究基金会の馮博士による講演で「GDPを国家単位でみれば世界第二位であるが、国民一人当たりでみれば日本の10分の1である」といった指摘があったが、まさにその通りであると実感できた。しかしながらそれはすなわち、日本企業が中国の方に受け入れられるような高付加価値の商品・サービスを提供できれば、とても大きな市場となる可能性があるということでもあろう。
福州での青年企業家との座談会では、「日本企業の中国における投資と経営」というテーマで意見交換をさせていただいたが、日本企業が進出するには、第12次5ヵ年計画が始まったばかりの今がいい時期であるという意見が多かった。中国進出にあたっては、都市部での賃金が上昇しつつあり、中国進出のメリットが薄らいでいることや、日本企業が持つ知的財産が流出してしまう可能性があるといった指摘があったものの、都市部と農村部の間には依然大きな収入格差が存在すること、知的財産を保護する法律も存在し投資環境の整備も進んでいることなど、経営者ならではの視点から有意義な意見を聞くことができた。
また、広州でのコミュニティや珠江ビールの工場視察では、日本や北京とはまた違った華南地域における人々の生活、企業経営に触れることができた。
海外展開を成功させるには、自分たちだけが得をすればよいといった考えでは決してうまくいかない。相手国の企業と共に、互いの良いところを吸収しあい成長していくという視点が必要であろう。そのためには国対国、企業対企業といった大きな単位だけではなく、個人対個人という小さな単位でお互いの文化、価値観を理解し合い、交流を少しずつでも積み重ねていくことが必要であろう。そのためにも、このような視察団を派遣して真の交流を図ることは大いに意義のあることだとあらためて感じた。
最後に、このような機会を提供していただいたすべての人に感謝するとともに、ぜひこのような活動を今後も続けてほしいと願って、終わりの言葉としたい。
(経済分団)
「中国の魅力と日中交流の今後の可能性」
訪中以前から、ある程度中国に対する知識やイメージを持って参加しましたが、今回の訪中で、中国に対する印象・感情が大きく変わりました。
まず、中国の歴史の深さと美しさ、日中の歴史の繋がりを強く感じました。訪問した3省ともに、5,000年以上の歴史を持つ伝統文化、風習を知れ、めまぐるしい発展の中で、揺らぐことのない愛国心や伝統を継承していく人々の芯の強さを肌で感じることができました。また、各省、気候や言葉も違えば、風習、文化も少しずつ違い、大国中国の持つ多様性と各省の持つ魅力に刺激を受けました。経済価値に埋もれず自国・土地のもつ良さを大切にすることが、魅力と活力ある地域を作っているのだと気づかされるとともに、私たち日本人が学ぶべき所だと感じました。また、日本と共通する歴史や風習を見て、我々の起源は中国であることを実感し、繋がりある2国間の関係をもっと深めていけば、どの国よりも強い絆ができると感じられました。
そして、中国の印象が最も変わったことは、中国の若者等が、誠実かつ真摯に我々を迎えてくれたことです。中国共産主義青年団はじめ、各政府機関を訪ねた際、「中国の発展についてどう思うか」と度々意見を求められました。知識が十分とは言えない中、メディア等で注目される経済発展の印象、環境問題に対する疑問点等、素直に意見を述べました。それは、中国の良い面だけではありませんでしたが、中国が直面している課題も含め、誠意を持って答えてくれました。また、各所で日本語を学ぶ大学生が暖かく我々を歓迎してくれ、中国の特徴や日本のイメージについて深く話すことができました。彼らに会い、中国への期待、親近感が高まると同時に、表面的でない心を通じあわせた交流ができたことに感動しました。国と国あるいは機関と機関の交流でなく、誠意を持った人と人との交流は、潜在的なイメージを超えた本質に気づくことができる交流となりました。また、中国が注目する分野、課題が、日本と非常に類似していることが印象的でした。今後、類似する中国と日本が互いに現状を分かち合い、連携していくことで、課題解決、国の発展が何倍も期待できるのではないでしょうか。
歴史、文化、現代の課題等、共通点の多い隣国である日中間の交流は、互いの国の魅力を引き出し、課題解決に向けた心のパートナーとなると感じています。これからの自身の業務でも、日中間の繋がりを大切にし、誠実な交流を図っていきたいと思います。
(友好団体分団)
Bコース(学術研究者、クールジャパン、環境・省エネ、大学生)
【北京-雲南省(昆明)-広東省(広州)】
「中国出張で印象に残ったこと」
今回、北京・昆明・広州3か所を訪問し、我々学術団はそれぞれの都市で医療施設の訪問を行った。中国の医療施設の95%程度は公立機関とのことで、基本的には行政がコントロールしている。また、大きな医療機関に寄せられる期待は大きく、大病院の混雑ぶりは並々ならぬものがあった。我々の訪問先は公立機関であったが、北京の中日友好病院では医師のグレードによって診察基本料金が違っていたり、またVIP専用施設なども存在し、各施設には市場原理が導入されていることを考えると日本より制度的に進んでいる面も感じられた。
中国の医療機関でユニークだったのは「中医」の存在である。具体的には漢方薬による薬物療養であると考えられるが、人民の「中医」への依存は依然として高く、疾患に対して「中医」と西洋医学の双方のアプローチに対して患者とコンサルタントが治療法を相談し決定するそうである。漢方薬はコンビニエンスストアでも容易に手に入る身近な存在であるようで、病気の時はもちろん平常時でも服用するとのことであった。副作用も少ないことから中医を選択する人民は依然として多いとのことであったが、EBMに基づいた西洋医学を実践している我々としてはなかなか受け入れがたい気持ちもある。
また、訴訟が多いそうである。患者の知識がどの程度あり、どのような情報開示と同意のもとに施術するのかは全く分からないが、日本との国民性の差異がだいぶあるのかもしれない。
いずれにしろ、日本も中国も国が医療行政に深くかかわっていることを改めて考えさせられた。日本においては「国民皆保険」の利点・欠点が浮き彫りとなり、TPPにおいては混合治療の是非が問われている。今回の中国の三都市での訪問を通じて、行き詰りつつ日本の医療行政の在り方を再度認識・点検し、学術・医療の立場から、行政へ積極的にフィードバックしていかなくてはならないと感じた。
(学術分団)
「恵まれた表現の自由」
今回の訪中で、このクールジャパン分団として一番強く感じた事は、日本は創造や表現において、良くも悪くも緩くあり、とても自由であるという事だ。映画を作る、アニメーションを創る、漫画を描く、音楽を創る、声で表現する・・・どれにおいても、日本はオリジナル性があり、その発想は外に無いものである。
音楽・映像・ファッション。どれも根源は海外(欧米)が殆どであり、日本人がそこに入るという事はあまり無いが、日本が長けているのは、発想であり、想像力と妄想力、そして、それを表現する力で、それ等を表現してしまえる、大胆かつ、繊細な部分も併せ持った力量なのだと思った。
この度の訪中で6日目に訪れた、アニメ制作会社【ALPHA】で、その自由度の違いがとてもよく解った。 これは中国だけではなく、国々での法律や規制にもよると思うのだが、日本は規制の中でもギリギリのラインでの挑戦をし、表現を試みるクリエイター達が居る。そして、それを世に出そうと試みる企業や人物が存在し、受け入れられる場へと広がる。それは同時に、受け入れる場や期待をするユーザーが多く居るという事を指示しており、結果、世に出る事の出来た表現や作品に関しては、更なる展開が期待出来る事になる。しかし中国には規制の中での挑戦を受け入れられる場や環境が多くは存在していない。それは、ギリギリの表現に挑戦を試みるクリエイターや技術者、表現者達を潰しかねず、よって、付属する私達【声優】の活動も大きくは展開されないという、原因にもなっている。現在の中国で【声優】は全くといって良い程に興味を持たれていない存在なのだそうだ。
日本は様々な規制がある中でも、表現の場が多く存在する為、作り手の意思が強く入り、独自性のあるものへ変化した作品が次々発表され、高い評価を得るものが多く生まれる。近年では、そこからプロフェッショナルが生まれ、またプロフェッショナルが自らの意思で、参加をする非公式な創作(表現)作品等の逆のパターンも多く存在するようになって来た。それは、私達【声優】の活動でも近年見受けられる傾向にあり、表現は自由なのである。
ある程度の評価を得られるという事は、それを認めて受け入れた人々=社会がある。この流れは現在の日本においては至極普通であるが、中国では未だ儘ならぬ状況だ。特にアニメーション、それに付随する音楽や声の表現、ファッション等において日本は表現や創作がとても自由であり、表現・創作の場が解放されていると感じた。
(クールジャパン分団)
「中国における環境問題の現状と意識・関心について」
今回、2011日本青少年訪中代表団第2陣の一員として中国各地を訪問させて頂き、日程全体をとおして最も印象に残ったことは、中国各地で見た環境問題の現状と中国での環境に対する意識、関心についてです。
環境問題については、今回初めに訪れた北京市内が最も印象的でした。北京市内は交通渋滞が常態化しており、それに伴い大気も汚染されている状況が目視できるほどでした。市内を走行する車両に対しては、車両ナンバーによって環状線内への乗り入れを曜日毎に規制したり、新車購入抑制のため購入できる権利を抽選にしたりと、国、省として色々と交通量削減のための対策を講じているという話を聞きましたが、まだまだ対策が現状に追いついていないように思えました。
また、昆明市の昆陽東大河生態湿地公園訪問時に見せて頂いた、滇池(てんち)における水質浄化対策も印象的でした。滇池では、1970年代以降の周辺都市や工業の発展などによる水質汚染(富栄養化によるアオコの大量発生など)から水資源としての利用に問題が生じており、滇池に工業排水や生活排水を“ろ過”するエリアを設け、水質を浄化しているとの説明を受けましたが、当然飲めるレベルへの浄化ではなく、日本で言う浄化には程遠いものを感じました。
他には、中国では大気汚染物質排出量削減のため、水力、風力、太陽光といった再生可能エネルギー導入を全国的に推進しているようでしたが、実際は、発電電力量にして火力発電(石炭火力)発電所の全体に占める割合は、現状で70%とまだまだ高く、こちらも国の方針に現状がまだまだ追いついていないように見えました。
上記のとおり、環境問題の現状については、まだまだ課題が山積していると思いましたが、今回、中国で環境分野を専門に仕事をされているあるいは研究、勉強をされている方々と交流する機会をとおして、中国人は、日本の環境保全や、そのための法整備等について非常に興味を持っており、環境問題に対して、むしろ非常に高い関心と意識を持っているとさえ思えました。
中国における環境政策は、近年は、一部の権限は地方に委ねられる構造になってきていますが、未だ中央政府の法や制度の画一的な適用が中心であり、ここに、中国の環境問題の難しさがあるように感じました。
このような中国の現状に対し、今後、環境対策、環境保護に関するノウハウを提供できる日本の役割は、さらに大きくなっていくと考えられます。日本の各企業の高い環境改善技術や国内法整備等に関するノウハウ等を売り込んでいく余地はまだまだあるように感じました。
また、今回の訪中で、中国の環境分野の専門家(研究機関の方)や行政の方々は日本での環境に関する各種研究や法整備等について非常に高い関心を持っていることが分かりましが、その半面、中国と日本では、環境政策や規制の考え方が根本的に異なる部分もある(例えば、水質の規制は飲用レベルではない等)ことから、日本の技術、ノウハウ等の売り込みに際しては、中国側のニーズを十分に読みとる必要があると感じました。
(環境・省エネ分団)
「中国の国と人に宿る巨大なパワーを実感」
今回、初めて訪中の機会を与えられ、うなぎのぼりで成長している今の中国を中から見ることができ、大きな気づきをたくさん与えられた。北京、昆明、広州と異なる3箇所をまわってみることができ、非常に有意義な6日間であった。これまで私が海外で出会ってきた中国人はいわゆる華僑であり、彼らは既に中国を離れて久しい「外国人」である。そのような人々に共通するのが芯の強さだと感じていたが、今回実際に赴いた中国で拝見した現地の人々にはもっとエネルギッシュな勢いがあると感じた。
例えば、北京で大学生と交流した際に、経営サークルの活動をしていた学生のキーワードは「能力を高めること」であった。就職難が問題となっている中国において、政府が必死の策として起業を推進している。これは日本政府と大きく異なる点で見習うべきポイントの一つであるが、人に頼るのではなく自立し、かつ経済的な成長を遂げることができるような素地を作れる場所を900以上の大学で「サークル」として実践していることはものすごい人材育成と投資だと感じた。日本に暮らしていると、いかにして社会に敷かれたレールの中でも王道の道を行くべきか(=大企業にいかに就職すべきか)という考え方が固定化しており、就職活動中の学生にとっては大きなプレッシャーとなっているのが現状である。その点、与えられるのではなく自ら社会に貢献し、その能力とアイディアを社会に還元せよ、という考え方は中国人の強さにつながる根幹部分を形成しているのだろうと思う。
しかし、広州で同じ質問をした際に帰ってきた答えは「私は起業より就職したい」と言うものだった。実際に起業するには資金が必要であり、そのお金のある人だけが起業できるのが実態なので、普通の学生はまず良い企業に就職することが大事、という意見である。北京で聞いた話では起業を援助してくれる団体が中華全国青年連合会の中にあるということだったが、全員に配布できるものではないようである。したがって、自由経済が発展している大都市であればあるほど就職にしろ起業にしろ競争率が高く、日本人大学生と同じように就職こそが将来への大事なステップになってしまうのかもしれない。しかし、中国人は全体的に前向きで向上心のある学生が多く、今回の訪中は同年代の若者が同じように中国でも頑張っている!ということを知ることができただけでも有意義であったと考える。
同時に、中国の町も大きすぎるくらいのスケールでどしーんと存在していて、空前の経済成長を目の当たりにすることができた。例えば広州の空港や超高層ビルに見られる派手さや、北京のように広大な1ブロックに1つの建物しか建っていない様な政令都市の在り方など、その経済的な勢いは想像をはるかに超えるものだった。その反面、今回見られたのは都会の一部であり、多くは多分昆明から1時間ほど行った歴史のある村のように中世の趣を残しているのだろうと推測している。個人的にはそのような村の素朴さこそが中国の真髄であり、美しい、と感じた。しかし同時に東京をはるかに上回る活気に燃える都会での時間も充実していて面白かった。
日本人とは考え方も行動力もスケールも異なる中国人と国際社会で今後どう共存していけるのかは分からない。しかし、例えば中国でビジネスをする際に、中国人の考え方を理解していないと成功しない、と言われているように、相互理解をすることは重要だと感じた。それはやはり実際に足を運んで国と人の勢いを目の当たりにすることだと言う風に感じた。
(大学生分団)
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