平成22年度中国社会科学院青年研究者代表団第2陣 感想
団員感想: Q1: 専門分野の交流、視察はいかがでしたか? Q2: 上記の項目以外ではどのような感想を持たれましたか? 【中米関係・日米関係】 Q1: 日本の専門家は皆知識が豊富で、独自の視点を持っており、大いに啓発を受けた。また、広い視野を持ち、留学経験もあり、研究分野が広く、研究方法も学ぶ点が多い。 日本は経済、科学技術が発達しているだけではなく、環境と空気もきれいである。また環境保護と省エネの分野で経験が豊富である。日本のこうした経験は、中国にとって学ぶ価値があると感じた。 日本は伝統文化、文化遺産、歴史遺跡に対して保存・保護をしっかりと行っている。文化とは、その国が長い時間をかけ、積み上げてきたものであり、遺産・遺跡はまさしくその文化を伝承する土台である。日本は文化遺産、遺跡の保護がうまく行われている。例えば、京都の金閣寺は世界遺産として、完璧に保存されており、日本が伝統文化を大変重視していることがうかがえる。中国はこれに習うべきだと思った。 Q2: 中日両国は、東アジアの重要な二つの国である。また、世界においても影響力のある重要な国として、互いに理解を深めなければならない。中国に次のような言葉がある。―「隣人は引っ越せるが、隣国は引っ越せない」。中日両国は一つの海を隔てた隣国同士だけに、仲よく付き合わなければならない。いかなる猜疑心や不信感も両国にトラブルをもたらす。両国間にある不信を払しょくするためには、相互交流、とりわけ中日両国の若者の交流は欠かせない。若者の交流は、両国の末永い発展戦略に有益なもので、今後も継続していくことが望ましい。 Q1: 専門交流の際、尖閣諸島(釣魚島)、日米安保同盟、及び中国の発展方向等の問題に関し、中日両国の認識の違いをはっきりと感じた。視察の際は、日本は想像を超える発展を成し遂げていることがわかり、大変衝撃的であった。特に、今中国が直面している多くの問題は、かつて日本も経験したことであるため、中国は引き続き日本から学ばなければならないと感じた。 Q2: 訪日の旅が終わりに近づいてきたが、今回の旅を振り返り、ある言葉を思い出した。「世界で一番遠い距離は生と死ではなく 目の前にいるあなたと私の気持ちに気付いていないこと」(訳注:インド詩人タゴールの詩の一節)。東京という大都会の人の群れの中に身をおくと、誰も私を特別視していないことを感じた。つまり、中国人と日本人は、見た目にさほど大きな違いがない。両国の若者にとって、生計をたてるために頑張ることや、混雑する地下鉄に乗り込むことや、家を買うといったことでは、敵同士ではなくむしろ共通の悩みを持っており、理解しあうことが可能だと思った。中日は生まれながらの宿敵ではなく、恨みも永遠に続くわけがなく、交流とコミュニケーションを通じて両国民の相互理解を促進することができると思う。 Q1: (1) 日本の官僚と専門家は日本、中国、アメリカの相互関係及びアジア太平洋地区の発展を終始重 視し、真剣に考えていると感じた。 (2) 日本の一部の研究者は、急速に発展してきた中国が世界に与える影響に真剣に向き合ってお り、新しい構図が日本にもたらす影響を冷静に研究していると感じた。 (3) 大部分の日本人は、中国とともに平和で安定的かつ繁栄する東アジア地区を建設するため、中 日協力を積極的に推進したいと考えていると思った。 (4) 中日は、各方面、特に経済貿易面での協力が絶えず深化しているが、それに中日両国間におけ る国家主権、政治体制、歴史怨念の摩擦と衝突が加わり、中日関係を一層複雑化していると感 じた。 (5) 日本は、未来の世界構図において、自らをどのように位置づけるのだろうか。民族主義の立場の 制限を受けるのか、利益最大化の計算によるのか、あるいは文化面の要素があるのかわからな いが、いまだに揺れ動いて定まらないように見受けられる。 Q2: (1) 日本は既に成熟した工業化国家である。それは法整備、都市景観、製品品質、人口寿命と国民 素質、生態環境および農村景観に現れていると感じた。 (2) 中国は日本の経験と教訓を取り入れ、学ぶべきである。例えば、緻密かつ周到な管理、先進的 な技術、強烈な生存危機感と民族アイデンティティ、成熟と調和のとれた社会、都市と農村との格差 の小ささ。バブル経済、民族的自信の消滅、不安定な政局など。 (3) 細かい例を挙げると、①ホテルの洗面所の鏡に曇らない部分があり、とても使い勝手が良い。 ②夏場の空調温度を28℃と設定し、快適に過ごせる上、省エネにも役立つ。③日本の物価は一般 的に高く、何十円という商品はあまり見当たらないが、商品の値段を1円単位まで設定している、例 えば126円等。④日本の食品は清潔で安全である。魚の骨まで抜かれていて安心して食べられる。 ⑤どのビルにも消防、救急セットがプラスチックボックスに備えつけられ、表記も目立つようにしてあ る。緊急時の救援問題も解決できる。⑥私たちの分団では、四人のスタッフが司会から通訳、日本 社会の紹介など非常に専門的な事務までこなし、みなさんの素質の高さと仕事効率の高さを感じ た。 【東南アジア】 Q1: (1) 近代国家として、日本はその完璧な制度体系を都市の細部に具現化している。厳密かつ細かい管理、高い自動化レベルは社会の成熟度を十二分に物語っている。 (2) 経済の現代化は素養のある国民に支えられる必要がある。視察時に、日本人の礼儀正しさ、規則を守る、細部へのこだわりといったところを目にした。たとえ混みあう地下鉄の中でも、秩序が保た れ、乗客が譲り合う様子には頭が下がる思いであった。 (3)日本の自然生態条件は恵まれているとは言えないが、日本人の努力精神から学ぶことが多い。例えば、ゴミ処理、都市空気の保護、シンプルな伝統生活を大切にすることなど。 (4) 専門家交流では、日本側専門家と意見が一致することもあれば、見解の異なることもあった。日本側専門家は、東南アジアの発展を推進することで日本発展の原動力を求めている。その責任感に感銘を受けた。 Q1: (1) 交流に参加した日本側専門家と担当者は皆レベルが高く、日本側が今回の交流を重視する姿勢がうかがえた。 (2) 交流を通じて、日本の東南アジア戦略と政策が明確になった。 (3) 見学と視察を通じて、日本社会や文化に関する理解が深まった。 Q2: 中日民間交流、とりわけ学術界の交流は、政府間交流の空白を埋め、不足を補い、双方の相互理解を深めることができる。これにより、感情的に引き起こされるトラブルは避けることができると思う。 Q1: (1) “専門交流”の形式はとても良い。日本側専門家と対面交流ができるからである。日本側のおもてなしは、とてもきめ細やかで、ことばの壁を感じなかった。日本の青年との交流では、私達に対する善意を感じた。また、日本側のスタッフはプロ意識が高く、根気強く、きめ細やかで、礼儀正しく、まじめで、責任感が強く、私たちは大いに学ぶべきだと思った。 (2)外務省との交流では、専門分野においての議論は浅く、多くの問題において満足のいく答えが得られなかったことに、少しがっかりした。 Q2: 東京は繁栄している大都市で、近代化のレベルが高く、工業化も高いレベルに達している。対して、京都は日本の伝統文化を背負っており、二都市はそれぞれの特色を持っている。中国の都市建設は遅れているところもある。インフラに関しては、近年、多くの投資が行われ、大きく変わっているが、日本のこうした先進的な経験を学びながら、良いところを吸収すれば、中国の都市建設に役立てられるだろう。