第十五回中国教育関係者代表団 団員の感想
Q1:訪日を通じて、日本の教育の現状について、理解は深まりましたか? Q2:日本の教育制度について、中国が参考にしたいと感じた内容があれば教えてください。 Q3:その他、日本の教育について、どのようなことを知りたいと思いますか? Q1: 今回の日本訪問で、日本の教育の現状についてより理解を深めることができた。まず、日本における義務教育はバランスが取れており、1人当たりの教育資源が平等にいきわたり多くの社会的矛盾が及ぼす影響を回避できている。社会の発展に寄与するという教育の役割をよく果たしていると思う。また、国の定める教育目標に則り、それぞれの小中学校がしっかりと意欲的に教育活動に取り組んでいる様子がわかった。 Q2: 日本の学校における自閉症等の病気を抱えた児童生徒に対する教育は中国でも参考となる。その他、社会科や家庭科、またさまざまな体験的授業の設置など、日本では小中学校において児童生徒の全人的な能力の育成が重んじられている点も多いに参考となった。 Q3: 自閉症など特殊な状況にある子どもたちに対する教育や指導について、また「落ちこぼれ」の児童生徒をすくいあげるための日本の学校における取り組みについて、もっと深く知りたい。 Q1: 今回訪れた数校の様子から、各教育段階における授業やカリキュラム、教育理念、教育モデルなどについて実によく理解することができた。とりわけ訪問先のそれぞれの学校での交流では、双方とも率直に意見を交わし、じかに、そして活発に、知りたいと願っていた事柄について分かりあえたのは大変意義深かった。どの訪問校もみなありのままの開放的な様子で我々の視察を受け入れて下さった。 Q2: (1)日本では、義務教育段階における児童生徒の実際的な体験を大切にしているという点。体験活動のカリキュラムが豊富であることは、子どもたちの本来の姿に見合っているというだけでなく、子どもたちの学びをより愉快で楽しいものにし、負担をかけ過ぎることもない。 (2)中学・高校での家庭科は大変興味深かった。生徒にとって大いに役立つものであり、我々も参考とすべきだ。とりわけ我が国の一人っ子の子どもたちには、生活面での技術能力の低さを補うためにも、こうした教育がとても必要である。 (3)自分の身を守る安全教育がしっかりと着実に行われている点。我が国もこの面でもっと実効性を高めていくべきである。 Q3: (1)教師の教育研究、授業研究の形式や方法 (2)教師の研修の状況 (3)教師の査定に関するしくみはどうなっているか (4)それぞれの教科について教材の内容を系統的に見てみたい (5)もっと多くの児童生徒と話してみたい Q1: 日本の小・中学校では人間本位の教育が実際にきちんと行われており、児童生徒のこれからの成長に向け、しっかりとした基礎を作り上げようしている様子がはっきり伝わってきた。そしてこの基礎には身体的能力の向上だけではなく、人とのコミュニケーション能力の育成、キャリア教育なども含まれていた。日本の小中学校教育においては社会の良き“労働者”を育てることに重きがおかれているのに対し、中国では文化の良き“継承者”を育てることに重きがおかれていると感じた。 Q2: 義務教育というのはいわば国家戦略である。国はもっとこれに資金を投入し、就学前教育や義務教育段階における家庭の重過ぎる負担をきちんと軽減するよう努めるべきである。同時に高校教育においても卒業後の進路の多様化を図っていかねばならない。この面で我が国は現在改革の途上であるし、キャリア教育の充実を推し進めているところである。 Q3: (1)公的な教育予算の執行とその管理監督 (2)教師の職業的原動力と業務能力についての詳細な評価 (3)児童生徒の学習到達度テストとその評価 (4)キャリア教育と大学生の就職状況の分析 Q1: これまで日本についての理解といえば、民度や素養が高く危機意識の強い国民、というレベルにずっと留まっていたのだが、今回の訪日で日本の教育の現状について深く知ることができた。まず、日本の教育が児童生徒の全人的成長を大切にし、真に“人間本位”の理念を実現しているということである。多彩な部活動の数々は、子どもたちにとって総合的な能力を育成する場となっていた。そしてキャリア教育。これは生徒が自分の人生における目標を明確にし、きちんとこれからの人生に向き合うことを促すものだと感じた。 Q2: 参考になる点が多々あった。例えば、日本では決して中国のように多くの思想教育や道徳の授業が行われているわけではないのに、児童生徒の精神的な素養が皆極めて高いという点である。これは、日本では心の教育が社会全体や国全体の日常生活の中に溶け込んでいるからであろう。また例えば、日本の子どもたちは真に勉強と生活の両立ができている。生徒たちは毎日放課後になるとさまざまな部活動に励んでいるが、これは彼らの身体能力を向上させるだけでなく、生徒の参画意識というものを育み、総合的な力を育成するものである。 Q3: (1)日本は国民レベルが高いが、いかにして知らず知らずのうちにそれらを人々に浸透させ、教育していったのか。 (2)児童生徒たちの異なる個性に対し、どのようにして各人に応じた指導を行うか。 (3)心の問題は多くの児童生徒を悩ませている。日本ではたくさんの学校にメンタルヘルスを扱う心の相談室などが置かれているが、心を病む子どもたちに対し、どのようにして効果的な指導を行っているか。 (4)放課後の部活動は日本の学校教育における大きな特徴のひとつである。部の種類も多岐にわたっているが、どのようにしてそれらの部を効果的にまとめているのか。また部活動における教師の役割とは。 Q1: 日本の教育はとても開放的で児童生徒の自由度が高い。それでいて全体に規律正しく、制度もよく守られている。また実務が重んじられ、情報機材の設備投資も適切で、ただやみくもに最新のものをそろえようとはせず、使えるものは極力利用し、無駄にしないなど教育資源を大事にしている。生徒たちの卒業後の進路は選択の幅が広く、短期大学は社会に役立つものだと感じた。 Q2: (1)安全教育に関する制度 (2)若手新任教師に対する研修制度(定着させよう、深く愛そう) (3)学業だけに偏らない多元的な教育体制の調和 Q3: (1)キャリア教育のしくみ (2)短期大学の教育内容とシステム (3)大学院における課題研究の状況(ハイテク分野について) Q1: 日本は非常に教育を重んじ、またそれを発展させてきた国である。今回訪れたどの学校でも皆明確な教育目標が掲げられており、教師たちは穏やかで温かく、生徒たちは活発でフレンドリーだった。また生徒たちは授業を通じて学問的知識を得るだけではなく、豊かで多彩な技能の習得にも励んでいた(例えば、家庭において必要とされる技能、労働において必要な技能など)。学校側が生徒たちの体験的訓練や細かな面での教育をとても重視している点は、我々も参考とすべきだと感じた(例えば、①枚方市立西長尾小学校では、清掃の時に使う雑巾がきれいに洗われ、きちんと並べて干されていた ②目黒区立目黒中央中学校では、各プリンターのそばに必ず古紙回収箱が置かれていた ③東京都立立川高校では、校内にペットボトルのキャップを回収する箱が設置されていた、など)。細かなこれらのことに、学校や教師たちの、児童生徒の良き生活習慣を育もうとする教育意識がにじみ出ていると感じた。 Q2: 中国と日本では教育制度が異なるとはいえ、今回の学校交流を通じて参考とすべき点がたくさんあると思った。例えば、9年間の義務教育の段階においては、子どもたちには気楽で楽しげな学びの雰囲気を作ってあげ、過度な学習の負担を負わせないこと、キャリア教育を推し進め、やがては学び舎を巣立つ生徒たちが、少なくとも一つは何らかの技能を身につけ、社会の要請に応えられる人材となるよう育ててあげること、等である。 Q3: (1)日本は科学技術の発達した国だが、学校では児童生徒への科学技術教育を重視しているかどうか。またどのようにして子どもたちの科学に対する意識や探求力を育成しているのか。 (2)学校は児童生徒の学習成績を評価するに当たり、テストの点数以外にも生徒の学習態度や校内作業時における態度、他生徒との協力・団結力などについても評定を行うのか、またその際の判定基準はどのようにして定められるのか。