公益財団法人 日中友好会館 JAPAN-CHINA FRIENDSHIP CENTER
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総合交流部
 

平成22年度 中国青年メディア関係者代表団 第3陣 団員の感想

 
 

【第1分団:グローバル企業経営】

●日本のグローバル企業の特徴は、人を基本とし、生産も販売も、お客様の立場に立った経営にある。特に松下幸之助先生の考え方は、中国企業の発展にとっても大変参考になる。また、日本のグローバル企業は科学技術によるイノベーションを重視しており、イノベーションは企業発展の原動力と言える。イノベーションがなければ、激しい市場競争を勝ち抜くことは難しく、それは技術面だけではなく、マネジメントの考え方も含まれる。わが国の企業がいかにイノベーションを果たすかは、日本企業が非常によいお手本を示してくれている。

●外務省中国経済研究室、毎日新聞社、関西経済連合会への訪問と交流を通じて、日本のグローバル企業の中国における経営を取り巻く経済背景の全体像、とりわけ日中経済の未来に向けた発展の方向性、例えば環境保護産業などを、把握することができた。また、日立総合計画研究所、松下幸之助記念館、パナソニックミュージアムなどの見学と交流を通じて、松下幸之助の「サービス観」や「人材育成観」など、「等身大」の日本のグローバル企業への認識が深まった。他にも、各商業施設への見学を通じて、消費製品(日用品)を生産する企業のイノベーション・スピリットやきめ細やかなサービス理念に感銘を覚えた。 今回の活動内容は豊富多彩で、マクロ経済からミクロの企業活動まで、経営モデルから技術革新、企業文化まで、大いに学んだ。これらの収穫が今後の仕事にとってもプラスになるだろう。

●今回訪問した企業はいずれも中国の発展と中国市場開拓を重視しており、関係者は中国への理解が比較的深く、日中間の政治ムードによる影響を受けたくないと望んでおり、環境保護、特許技術保護、レアアースの輸出などに興味を持っている人が多かった。また日本企業は、豊かな企業文化と内に秘めたものを有していて、伝統的な企業文化が代々引き継がれている。松下グループは特にそうだが、そのようなところが、企業を支え、困難を乗り越えることができる根本的な要素ではないかと思う。また、グローバル企業経営のローカライズ戦略を強化するため、例えば、中国市場の管理職に中国人を選任するなどといったことが必要だと、日立グループ、松下グループおよび関経連はそれぞれ言及しており、革新を重視している。

●短い訪日だったが、隣国の日本に対して認識が改まった。特筆すべきは日本の環境と秩序の良さで、私たち一行が皆思うに、経済発展のスピードや都市建築というハードウエアに関しては、日本と中国はさほど大きな差がないが、ソフトウエア(文化面)や国民素養面での差は依然として開きがあり、その差は企業発展や経営面にも現れていて、随所に理念と考え方の違いが出ている。まず、日本企業は企業家個人の能力に依存するところが大きく、また市場経済のルールに則っており、政府に保障やサポートをあまり求めない。つまり、会社自身の「造血機能力」が高いと言える。また、ほとんどの大企業は単純に利益最優先ではなく、社会責任、人のためのサービスを最重要位置においている。それに対して中国企業はこうした社会責任感や、社会使命意識をまだまだ強化する必要があり、「良識」というものを企業発展の主要位置におくというルールについてもっと探求しなければならない。そして日本企業には百年以上の歴史をもつ「老舗」が多く、企業ブランドは何代もの人々の努力によって成し遂げられ、発展している。このようなことができるのは、持続可能な発展の仕組みづくりによるものだと思う。中国企業もそれを学ばなければならない。


【第2分団:高齢化社会と福祉】


●今回の訪日では、厚生労働省の高齢者介護制度に関する講演や、大阪保健福祉専門学校や高齢者外出介助の会への訪問などに参加した。資料は正確で詳しく、ほとんどが中国語に訳されており、読みやすかった。現場でも詳細かつ全体的な説明があり、よくまとめられていた。活動内容は非常に豊富で多彩で、メディア関係者との交流でも、学校訪問や高齢者施設でも、交流や質問応答の雰囲気が非常に良く、グループ分けされていたりして、コミュニケーションがとりやすかった。福祉学生代表と高齢者介助の会の合唱団はとても印象深かった。日程のバランスが良く、各活動に関連性があり、訪問テーマも一貫して保たれていた。

●「高齢社会と福祉」は日中両国にとって、比較的目立った社会問題で、中国のメディア関係者として、日本の経験とこれまでの努力の成果をぜひ知りたいと思っていた。7日間の訪問で、厚生労働省の対策を見聞し、大阪福祉保健学校、高齢者外出介助の会を訪問して、人口高齢化が日本社会にもたらす問題や、それに対応する施策と措置を見ることができた。また若い人が背負う責任の重さや、高齢者の楽観的な気持ちと向上心あふれる生活観にもふれることができた。「自分でできることを自分でやる」「人に迷惑をかけない」という独立志向は、まさしく私たちが、帰国後、国民に伝えるべき情報といえる。中国はこの分野においても、日本にたくさんのことを学ばなければならないので、良い経験を分かち合いたい。時間的な問題で、高齢化問題はまだまだ一部分にしか触れていないが、今後両国は、よりオープンな態度で、引きつづきこの問題について交流すべきだ。

●昨今、中国での日本の報道は情報量がかつてないほど多く、日本においても中国への関心は非常に高い。中国の発展は日本にとって良い外圧となるが、中国は日本社会文化の細部の多く学び、参考にしなければならない。日本での交流活動は非常に良かった。日本側のスタッフは、私たちが日本をより理解できるように、あらかじめたくさんの準備をし、日程は細かく綿密に組まれていた。日本は高齢化社会から超高齢化社会に移っており、その中で日本は、高齢者の尊厳ある生き方の手助けや国民の真のニーズの分析など、様々な経験を積んだ。同時に、政策制定時の予知性、専門介護スタッフの不足などの問題にもぶつかっており、これらはわが国にとって良い参考となる。

●高齢化社会や福祉の問題は、どの国も直面しているか、いずれは直面する問題だ。各国はこの問題をめぐっていろいろな解決策を試みているものの、最良な答えは出ていない。今回「高齢化」というテーマで日本を訪問し、帰国後、高齢化社会問題に直面している中国で、日本の特徴のあるやり方を紹介するのは、重要なかつ現実的な意味と、報道の価値を有していることは間違いない。厚生労働省や専門学校、NPO法人などを訪問し、日本社会の高齢化問題への対策を知り、具体的なイメージをつかむことができた。訪問日程は非常に整合性があり、細やかで、事前準備は十分になされていた。以前にも社会保障問題に関して取材したことがあり、中国は日本と違った国の事情があるものの、この問題は両国社会の大きな負担となっており、日本の予備保障体制、専門人材の育成などの方法や理念は、中国にとって学ぶべきところがある。

●一番深い印象を受けたのは高齢者合唱団(平均年齢70歳以上)のきれいな歌声だった。人の心をひきつける歌声とメロディ、それに楽観的で、健康的な生活状態に深く感動を覚えると同時に、日本社会が高齢者に対する手厚いケアと保護していることを理解できた。

 
 
 
 
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