公益財団法人 日中友好会館 JAPAN-CHINA FRIENDSHIP CENTER
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総合交流部
 

平成24年度 中国国家行政学院公務員訪日研修団 団員の感想(抜粋)

 
  1.全体プログラム感想

今回は、近代都市の東京、自然と豊かな地域文化に恵まれた宮城県、古都の風情に満ちた京都、三つの異なる地域を訪れた。いずれの都市にも感じ入るところがあり、特に地方自治の現状が心に残った。公民館、文化会館などの施設が地域住民の集いの場となり、自助・共助の精神を促し、共に暮らし、共に発展している姿が印象深かった。

 民族性や地域性の特質の保存と継承は、国際社会との対話や交流の継続、共に関心を寄せる課題の探求に注力することと、矛盾することではない。中国唐代の詩人・劉禹錫は「沈舟側畔千帆過、病樹前頭萬木春(沈んだ小舟の傍らを、多くの帆船が通り過ぎる。病んだ木の前にも、あらゆる木にとっての春がやってきた)」と詠んでいる。室町時代の一休宗純も「脱生外道死活手、千山万木百花春(外道死活の手を脱出して、千山万木百花の春)」と詠んでいる。いずれも苦難、挫折、生死を超越した人生観が描写されており、歴史から教訓を学ぶことが、明日への自信を与えてくれる。中日両国、両国国民の将来にも同じことが言えるだろう。

 今回、見聞したことを私の周りの人々に伝え、更に多くの中国の人々に日本や日本人を理解してもらいたい。そして中日友好関係の発展のために微力ながら努力していきたい。


日本に対する多方面での理解が深まった。美しい環境、先進的な都市建設、賑やかな商業施設、良好な社会秩序の他、責任意識が強く、合理的な配置と管理体制をもつ各レベル政府、そして道徳、礼儀、秩序を守り、辛抱強い日本国民が印象に残った。

1.過去の文化や理念を尊び、伝統継承と近代的発展の管理を一体化させる点において、政府は非常に重要な主導権を発揮している。

2.イノベーション精神を重視した社会理念。政府および社会全体が科学技術と管理の創新に注力し、国家を常に時代の先端に置くよう努力している。

3.自己反省と自己革新の思考。震災により生じた課題に対し常に深く反省し、教訓を学び取り、改善方案や復興計画を立て、災害を貴重な経験としている。

4.細やかなサービス精神を重視している。至るところで心のこもった、相手を思いやる心優しいサービスを体験した。

 日本に学ぶべき点は非常に多いが、特に上記4点をあげたい。但し日中両国には国情の違いもあり、相互認識において誤解が存在していることも否めない。これら課題の解決には、政府や関連民間団体が積極的な役割を果たし、「和則両利、闘則倶傷(和すれば両方に利あり、闘えばともに傷つく)」ことを肝に銘じるべきだ。両国政府や民間交流の拡大、双方対話の促進、相互理解と認識が深まることを強く希望する。私は貿易促進委員会に所属する者として、両国の経済貿易交流を更に発展させるため尽力していきたい。


穏やかな気候、美しい環境、快適で清潔な暮らし。友好的で真面目、民族の自尊心の高い日本。そして被災地の人々は不撓不屈の精神で復興に向かっていた。団結、互助の精神にあふれ、いつも明るく、自信に満ち、強靭な心を持ち続ける人々。被災地の人々の中に人間の美しさを見た。

 日本の公務員管理について多くを学んだ。日本では公務員採用に学歴主義がない。中国国内で公務員になるには大卒が必須条件だが、日本では高校卒業者にも門戸が開かれている。また、日本の公務員は国民のために働く意識の有無が問われ、安定した職業を求めるための踏み切り台ではない。他にも公務員の人事評価は年末のみではなく、平時から行われ、収入にも関係する。職場環境が安定し、安心して働け、キャリアや貢献度が年金にも影響する。職員は帰属感をもって働いている。これらの要素は我が国で職場文化を発展させていく上での有効な検討材料となった。

 今回の活動を通し、日本人の礼節、道徳観念の高さを知り、それらは一朝一夕で形成されたものではないと感じた。我が国でも教育から着手し、幼少時代から道徳教育を実施することで、道徳観を一人一人の心に刻み込み、習慣化させていくことが必要だ。そして社会全体で礼節、道徳の重要性を認識し、広めることが大切だ。各人が行動で示していこうと思う。


今回の訪日活動は非常に充実していた。各講義のテーマはいずれも興味深く、講師の方々の十分な事前準備により、情報量も豊富で、活発な交流ができた。それぞれのプログラムの手配も準備万端で、スタッフの態度も非常に素晴らしく、日本人の素養と能力の高さを見た。日本に対して広く理解を深め、素晴らしい印象を残すことができた。

 私は著作権に関わる仕事をしているため、文化関連の内容に特に興味を持った。日本の文化産業の現状、地方自治体の文化施設の動向と論点について学習した。伝統芸能の神楽の鑑賞、日本こけし館の見学などから、文化継承の方法について再考する機会を得た。今後、著作権の保護を通し、文化の発展、繁栄、国際社会での文化交流の促進に対して貢献を続けていきたいとの思いを強くした。


高度に発達した経済と科学技術、進歩した社会、善良で友好的な人々との出会い。日本訪問は忘れ難い想い出となった。

 日本の公務員制度における科学的な管理体制や、日本政府の文化の継承発展を重視している点を知った。また、日本の人々が私たちに対して大変友好的であることを深く感じた。

 帰国後、訪日の成果をレポートに纏め、周囲の人々に日本から学ぶべきことを発信していきたい。中日両国、両国民が友好関係を保ち続けることで、ともに発展することができる。両国の政治家、各界の有識者には、歴史と国民の願望に鑑み、両国の平和友好という大局を守り続けてもらいたいと切に願う。


綿密で細やかなプログラム、親切で誠心誠意仕事に励むスタッフ、そのおかげで我々は順調にスケジュールをこなし、充実した時間を過ごした。今回の訪日活動を通して日本、日本人に対する理解が深まった。多くの日本の皆さんにも是非、中国を訪れて欲しいと心から願う。七日間の滞在から、日本は高度に発達した近代国家であり、インフラも完備し、交通・ビジネス・宿泊施設・文化方面などいずれも先進的であることを知った。自然環境にも恵まれ、環境保護が有効的になされていた。また農民、農業に対して政府は特別な保護を行い、農民の生活レベルの向上に努めていた。国民一人一人の資質が高く、真面目、真剣、秩序をもって生活しており、質と効率の高い仕事をしていた。

 早稲田大学の講義では得るところが多かった。日本は「文化芸術立国」を掲げており、中国でもまさに文化体制の改革が進められているところだ。日本には多くの優秀な民族文化が育っており、国家のソフトパワー、心豊かな国家としてのレベルは向上を続けている。講義で指定管理者制度について学び、我が国の文化体制の改革においても良い参考となった。国家は公共文化施設の管理において民間組織の力を発揮させるべきだ。国民に公共サービスを提供すると同時に、財政支出を削減し、公共施設運営における効率と収益性のアップに努めるべきだ。

 日本政府は歴史認識に関して国家としての見解を明らかにし、中国侵略戦争に対し、心から公の場で謝罪をするよう提案する。その歴史の一ページをめくることで、両国関係は新しいステージに進むだろう。中国には「遠交近攻(遠きと交わり、近きを攻める)」、「遠親不如近隣(遠くの親戚より近くの他人)」との古い諺がある。両国の現状には後者が即していると考え、両国の友好を心より切望する。

 また、両国人民は多くの場合、メディアを通して互いを知る。しかるに両国メディアには実情に即した正しい報道を希望する。更に多くの人々が互いに相互理解を深めることができるよう、両国間の交流規模の更なる拡大を願う。


2.被災地プログラム感想

被災地を訪問し、地震と津波がいかに多くの尊い生命と財産を奪い去ったのかを目の当たりにした。同時に、日本国民が心を一つに合わせ、震災を克服しようとする強い決心を知った。短期間で多くの生産活動が回復していたことは、想像もしていなかった。

 帰国後、被災地の復興状況、日本人の不屈の精神、人々の優しさを必ず私の周囲の人々に伝えていく。中日両国、全世界の人々の支援と協力のもと、日本の人々は必ず早期に震災復興を果たし、美しい故郷を再生させ、被災地を更に美しく蘇らせることだろう。


被災地の政府関係者による状況紹介、被災地への実地視察を通し、今までメディアから得ていた情報に加え、現実性が増した。被災地復興の様子、現地の人々の生活を知るにつけ、震災がどれほど恐ろしいものだったのかを再認識した。そして被災地の人々の屈強な精神力、復興作業の迅速さや理念に感銘を受けた。被災地の人々は、震災を冷静に捉え、過去の教訓として真剣に向き合っている。今までの暮らしや経済活動を振り返り、家族、地域、友人との絆を強化し、先進的な理念、慎重な姿勢、着実な再建を貫き、一人一人の住民が主体となって地域の復旧復興に取り組み、被災者の心のケアも忘れないなどの努力をしている。これらのことを知り、私は被災地の復興が必ず早期に成し遂げられると確信した。

 帰国後は実際に体験した全てを周りの人々に伝え、彼らにも自分の目で日本を、そして被災地を見るよう勧めていこうと思う。


被災地への訪問で印象深かったのは、NPO法人海の手山の手ネットワークとの交流活動だった。被災者支援プロジェクトの一環で、共に新聞バッグを制作した。同法人の活動は、社会一般の被災地の人々への理解と支援を表しており、人類愛の表れと社会協調の基礎であると感じた。

 帰国後は日本の被災地復興の状況、被災地住民の生活の様子、復興に対する日本国民の努力、被災地政府の復興に向けた取り組み、そして無私の精神で支援に当たる人々の姿を広く伝えていきたい。


国家行政学院訪日研修団員として日本を訪れ、多くの感想を持つに至った。要点を下記にまとめる。

一、災害は無情だが、人は情に溢れている。天災に国境は無い。今回の大地震と津波は全世界を震撼させた。有効に災害を防ぐ方法、天災からの損失を可能な限り抑える方法は全ての人類が共に直面する命題である。日本はこの点において非常に貴重な経験をしたと思う。その中で幾つかの課題が浮かび上がった。例えば避難所や避難物資の不足、通信環境の麻痺が被災地にもたらした多大な困難等。日本政府はこれらを踏まえて、復興七年計画を策定しており、世界各国は大いに参考にするべきだと思う。

二、災難にあっても挫けず、克服に向かう人々の意志の強さが深く心に刻まれた。日本の明日は更に美しく輝くだろう。


東日本大震災から1年4か月。被災地の状況はまだまだ厳しい。破壊された建築物が撤去された空地、積み木のような廃車の山を目にすると、復興の道程はとてつもなく長いのだろうと溜息が出た。そんな状況に置かれてもなお人々は強く、明るい。秩序を守って生活、仕事に励んでいる。食事処「華夕美」で震災の様子を語ってくれたおかみさん、「凛菜・上の家」で出会った80歳を超えても元気で楽しく働くおばあちゃん、「海の手山の手ネットワーク」のスタッフの爽やかな笑顔が、私たちの胸に深く残っている。被災地の実情、人々の不屈な精神を中国の人々にしっかり伝え、被災地の復興が順調に進み、更に美しい町として立ち上がるよう願ってやまない。
 
 
 
   
 
 
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