思い出に残ったホームステイ Aコース一行は、京都府、福岡県、熊本県で1泊2日のホームステイを経験した。京都ではまず府教育委員会を表敬訪問し、田原博明教育長から、「相互の文化の理解を深め、友情を育んでもらいたい」とメッセージが送られた。学校交流では、恵まれた地域性を生かし、日本の高校生たちと学校近隣の名所旧跡を見学し、日本の伝統文化、歴史の一端に触れることができた。その後、京都の高校生宅に1泊のホームステイを行った。交流2日目はホスト生徒と一緒に登校し、体育や理科や音楽などの授業に参加、日本の学校生活を体験することができた。 福岡・熊本では、金曜日の夜から土曜日にかけてステイしたため、ホストファミリーとほぼ丸一日、一緒に観光や買い物などそれぞれ楽しい時間を過ごした。ホームステイ解散式ではホストファミリーの他、前日の学校交流で知り合った日本の高校生らも出席し、中国高校生から歌を披露したり、感想を発表するなど、和やかな式となった。最後には皆が涙し、写真を撮ったり連絡先を交換するなど、別れを惜しんでいた。 様々な授業を体験 学校交流では、各校とも多彩なプログラムが用意され、同世代の青少年同士の交流の絆を深めた。大阪では府立3校と学校交流を行い、授業や部活動に参加した。初めは緊張した面持ちで参加した中国高校生たちだったが、中国でも人気のある日本のアニメ、ドラえもんに扮した日本の高校生が出迎えしてくれるなど、雰囲気を和ませてくれ、次第に打ち解けていき、まるでクラスメートのように仲良く交流を行った。 今回、中国高校生の短期招聘事業として初めての来日となったチベット自治区の高校生たちは、美しい民族衣装で福岡、千葉の学校を訪問し、高校生らの注目を集めた。特に千葉の高校では、一緒に訪問した寧夏回族自治区の高校生らと、それぞれ持参した写真や絵ハガキを体育館に用意された大スクリーンに映し出し、郷里の自然や風習、また学校生活などを日本の高校生らに紹介した。熊本で訪問した工業高校では、建築科の生徒製作の箸箱と箸、コースターをプレゼントされ、また千葉の高校では、調理系列の生徒によるおいしい昼食が振る舞われるなど、日本の高校生による手作りのもてなしに感激もひとしおの様子だった。その他、浴衣の着付けや、乳牛の搾乳体験・調教、パン作り、化学の実験など、個性豊かなプログラムも準備されており、毎日勉強ばかりしている中国高校生たちにとって、とても新鮮で思い出に残る交流となった。 このほか一行は、京都と千葉でリサイクルセンターや防災センターを見学し、日本のリサイクル技術や環境保護、防災に対する意識を学習した。中国高校生たちは、実際に消火器を使ってみたり、震度7の地震を体験するなどし、震災の恐ろしさを実感した。今年5月に中国を襲った四川大地震の影響もあり、高校生らは改めて今後の生活に役立てたいと、熱心に質問をし、メモを取る姿が見られた。訪日団は11月19日に、日本で出会った新しい友人、日本で学んだ多くのことを胸に、全員元気に帰国した。本団の受け入れにご協力いただいた外務省、文部科学省、各府県教育委員会と国際課、関係団体、学校関係者、ホームステイ家庭の皆さまに、この場を借りて厚く御礼申し上げたい。 (総合交流部)