都内で日本の学校生活を体験 一行は、日本滞在中、東京都で1回、地方で1回の計2回、学校交流プログラムに参加した。東京都の受け入れ校は4校で、いずれも夏季休暇中のため、部活動参加や校内見学を中心に、日本の学校生活を体験。親しくなった日本の高校生に、「勉強と部活動の両立をどのように図っていますか」などと質問し、日本の高校生が勉強だけではなく行事や部活動などの課外活動にも意欲的に取り組んでいる様子を見て、大いに刺激を受けたようだった。 都立杉並総合高校で和太鼓部に参加した団員は、同部の生徒に教わりながら簡単なリズム打ちに挑戦。「和太鼓の練習は、仲間と音を合わせるための協調性や集中力を鍛えることができる。姿勢や所作の美しさなど日本文化に学ぶべき点は多い」と感想を述べ、短時間ではあったが日本の文化や習慣について身をもって学習することができた。ほかにも茶道・華道体験や工業高校の特色を生かしたものづくり体験、吹奏楽部による歓迎演奏を用意した学校もあり、人気を博していた。 訪日団にとって初めての直接交流の場であったため、始めは緊張した表情だったが、言葉が分からなくても英語やジェスチャーでなんとか伝えようと頑張っている姿があちこちで見られた。帰り際には仲良くなった生徒と一緒に記念撮影をしたり、お土産や心連心サイトの説明書を渡したり、メールアドレスを交換したりと、それぞれが楽しく有意義な時間を過ごし、日本高校生との別れを惜しんだ。 各訪問地で合宿交流 26日からは2コースに分かれ、第1分団は秋田県、第2分団は青森県へ。学校交流を行ったのは、東京都4校のほか、秋田県1校、青森県3校の計8校で、秋田と青森の両県では学校訪問後、合宿所にて交流プログラムを展開。各訪問校の生徒と寝食を共にした。 秋田コースは、夕食後、日中双方が歌や踊りなどの出し物を披露。続いて日本高校生がヤートセを、中国高校生がチャン族の踊りを互いに教え合い、会場は熱気と一体感で包まれた。その後、日中高校生は、寝具を各自の部屋へ運び入れたり、布団を敷いたりと、部屋ごとに行動をともにしながら互いの交流を深めた。 青森コースは、訪問校別に日中混合のチームに分かれ、学校対抗クイズ大会を実施。日中に関する二者択一問題に挑み、正解が発表されるたびに拍手と歓声が湧き上がって大いに盛り上がりをみせた。後半は、太鼓の音の数だけ人数を集めてグループをつくるゲームや、全員で一つの大きな輪をつくり、音楽に合わせて体を使うレクリエーションに汗を流した。多くの中国高校生がリラックスして交流を楽しみ、こんなに無我夢中で楽しんだのは本当に久しぶりだと語る団員もいた。 両コースとも翌朝は日中の高校生が一緒に朝食をとり、バスに乗り込んでお別れとなっても、双方いつまでも手を振り、別れを惜しんでいた。 地方滞在中は厳しい暑さも和らぎ、青森コースは奥入瀬渓流や十和田湖などの自然景勝地や三内丸山遺跡を参観し、また、金魚ねぷたの絵付けやねぶた運行を体験。一方、岩手を経由した秋田コースは小岩井農場まきば園参観やチャグチャグ馬子作り体験の後、秋田入りして角舘武家屋敷通りを参観するほか、竿灯演技を体験するなど、両コースとも土地の歴史と風土が育てた伝統文化を身近に体験し、理解する良い機会となった。 一行は29日に成田で合流。歓送報告会には、北京から駆けつけた劉宝利 中国教育部国際合作与交流司副司長も出席し、生徒代表より訪日の成果と今後の抱負が語られた。最後に、訪日団全員が「感恩的心(感謝の心)」を手話付きで熱唱。外務省をはじめとする日本側受け入れ機関に対して感謝の意を表し、プログラムの最後を締めくくった。 懸念されていた新型インフルエンザ流行による影響もなく、訪日団は全日程を無事終了し、8月30日に成田空港より帰国の途に着いた。本事業の実施にご協力いただいた外務省、文部科学省、中国大使館、各都県教育委員会と受入関係機関、学校関係者の皆様に厚く御礼申し上げたい。 (総合交流部)