6月29日から7月6日までの日程で、平成22年度中国国家行政学院公務員訪日研修団(団長=宋麗・国家行政学院研究生部副主任)が来日した。一行は、同学院の幹部3名、公共管理学修士(MPA)コースの研修員48名からなる計51名で、いずれも中国の各行政単位で重要な地位を占めることが見込まれている中堅幹部公務員で構成された。 本団招聘事業は今年で12年目を迎え、平成19年度より、外務省が推進している「21世紀東アジア青少年大交流計画(日中21世紀交流事業)」の一環として実施している。 「省エネ・環境保護経済の発展に向けた日本の取り組み」テーマに 研修団一行は、東京、神奈川、京都、大阪を訪問し、日本の公務員制度についての講義や公務員との交流に参加したほか、今年度の訪日研修テーマ「省エネルギー・環境保護経済の発展に向けた日本の取り組み」に基づく講義、視察、企業・大学の訪問等、さまざまなプログラムに参加し、包括的な対日理解を深めた。 また一行は、相互交流を続けている人事院公務員研修所による「日本の行政制度」、「公務員倫理」に関する講義を受けた。その後、日本の青年国家公務員との意見交換会に参加し、互いの国情は異なるものの、同じ公務員としての共通の課題や参考にすべき方策などについて、活発に意見を交わした。 6月30日に開催された当財団主催の歓迎レセプションは、北野充外務省アジア大洋州局審議官、文徳盛中華人民共和国駐日本国大使館政治部参事官らが出席し、賑やかに行われた。村上立躬理事長が歓迎の挨拶を述べ、「両国の公務員が交流し、互いに学びあうことは、相互理解と日中協力関係を深める上できわめて重要である」と、本事業の意義を強調した。また7月2日には、外務省による日中関係セミナーを受講。日中の戦略的互恵関係の構築に向けての取り組みや、日本の政治体制についての理解を深めた。 一行は、研修テーマ「省エネルギー・環境保護」に基づき、国土交通省による「日本の水政策」のブリーフ、経済産業省による「日本の省エネ・新エネ政策」のブリーフを受けたほか、富士通(株)、早稲田大学を訪問し、講義や懇親会に参加した。富士通(株)ではリサイクルシステムのレクチャーを受けた後、実際に工具を手にパソコン解体に挑戦した。団員一同、熱心に取り組み、徹底した部品リサイクルに感心していた。 7月5日には大阪府の環境対策や温暖化対策についてのセミナーを受講。地方自治体の具体的な環境保護への取り組みについて質問が活発になされた。午後は中央水みらいセンターで下水処理システムを視察した。 一行はそのほか、東京ガス環境エネルギー館を訪問。充実した教育施設を見学し、政府からの補助金の有無について質問が出た。また横浜防災センターにおいては、地震体験や、避難行動について学習し、防災意識を高めることの重要性を再認識した。 研修団は全ての研修プログラムを終了し、7月6日に関西空港より帰国の途についた。本訪日研修団の受け入れにご協力下さった外務省、人事院公務員研修所、富士通(株)、早稲田大学大学院公共経営研究科、大阪府環境農林水産部、関係団体・企業の皆様に、この場を借りて厚く御礼申し上げたい。 (総合交流部)