本展は中国の著名美術大学の教授・卒業生・学生の作品を展示するもので、2004年北京清華大学美術学院展、2007年杭州中国美術学院展に続く、第三校目となります。重慶にある四川美術学院は、中国三大美術大学のひとつと言われています。学院長には1980年代に四川美術学院の油絵を全国区に牽引した羅中立(ルオ・ジョンリー)、他教授陣も現代油絵界を代表する画家たちで、自らも油絵界で活躍しながら、教鞭をとっています。 今回、「四川美術学院といえば油絵」といわれるほど定評と実績のある油絵学科から、計78点の油絵作品を展示しました。サイズが高さ2m超の迫力あるものが多く、画家の年齢は60代~20代と様々で、テーマや手法には年代の違いや経験などがあっても、四川油絵独特の「素朴さ」や「生命への思い」への表現は共通で、ベテランから若手にこの精神が継承されていることがよくわかりました。 来場者からは「中国の現代美術の概念が変わった」、「力作揃いだった」、「中国の現代美術は個性があって面白いと初めて知った」「もっと中国現代美術を見てみたい」などの声があり、日本で中国現代美術を広く紹介する一歩となったのでは、と思っています。今後も当会館でしかできない展覧会を催していきたいと思います。
また、開幕式出席のために来日された羅中立院長をはじめとする代表団の皆さんは美術館視察や、東京藝術大学を訪問し、今後の交流関係を築く足掛かりとなる重要な訪日となりました。これは当会館としても大きな成果でありました。今後もこのように日中交流の促進に力を尽くしていきたいと思います。 (文化事業部)